NTSC
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6.日本における実装 (NTSC-J)
アメリカやその他の国々で採用されているオリジナルのRS-170A/SMPTE-170M規格では最低輝度の黒を表すセットアップレベルは7.5IREと規定されているが、日本では黒レベルとブランキングレベルが等しく0IRE (=0V) となっている。両者の違いはごくわずかであり、多くの一般人はこのような差異が存在すること自体に気が付かないであろう。しかし業務として映像に携わる人々にとっては無視できない違いであり、業務用機器では日本規格と米国規格とで製品ラインナップが別になっていたり明示的にセットアップレベルを切り替えるスイッチが付いていたりする。

また、「輝度100%の白」を意味する信号が送られてきた時に表示する「白」の色温度も日米で異なっている。SMPTE-170Mでは国際照明委員会 (CIE) 標準光源のD65(色温度約6500Kの昼光色)を目標色にしているが、日本では明文化された規定は無いが色温度約9300KのD93光源の色が業界標準となっており、少々派手目の絵作りが設定されている。

なお、日本の東半分(富士川および糸魚川以東)ではAC電源の周波数は米国の60Hzと異なる50Hzであるが、50Hz地域でNTSCを採用しているのは日本以外ではミャンマージャマイカチリペルートンガなどと少数派である。白黒時代に垂直同期周波数を米国の電源周波数と等しい60Hzに決定した理由は、端的に言えば1940年代の電子回路に使える増幅素子が真空管だけだったためである。当時はコンセントから取ったAC電源を直接整流してコンデンサで平滑化しただけで回路内部のメイン電源を生成するトランスレス設計が当たり前であり、安定化されていないB電源には交流周波数と同じ周期の脈流成分が多量に含まれていた。同様にブラウン管に印加する加速電圧も安定化されていないために電子ビームの速度が変化してしまい画面が明滅したり偏向感度が変化して画像が膨張・収縮する現象を抑えきれず、表示フィールドレートと電源周波数が等しく[7]なっていないと激しいフリッカー(ちらつき)や画面の振動を生ずる危険性があった。またブラウン管の蛍光面を焼きつきから保護するために放送を受信していない時にも水平・垂直偏向系を駆動し続ける必要があり仮の同期信号を電源周波数の逓倍で作れるよう、総走査線数は比較的小さな奇数の積 525=3×5×5×7となっている。ところが、このような電源周波数に依存した設計を採ると日本の東西で方式を分けなければならなくなってしまう。幸い、アメリカでテレビ放送が開始された1941年から日本で開始される1953年まで十余年間の技術進歩の恩恵を受けて、内部回路用の低圧電源や電子ビーム加速用の数千ボルトの電圧を一定に保ち、また電源周波数の逓倍に頼らずとも正確な発振周波数を得られる電子回路とそれらを可能にする部品群が開発されており、東日本地域でNTSC方式の受像機を使用しても画像に上記の様な問題を生じることは無い。

そしてこれはテレビジョン放送規格の差異ではないが、日本のFMラジオ放送では音声信号のエンファシス[8]時定数は欧州規格と同じ50μ秒を採用している。アメリカではFMラジオ放送のエンファシス時定数とテレビのそれとは同じ75μ秒であるため、テレビの音声放送周波数にチューニングダイヤルを合わせる事が出来れば(あるいは周波数変換機:コンバーターを使用すれば)テレビの受像機が無くても音声部分だけはラジオで聞く事が出来る[9]。しかし日本規格(50μ秒)のFMラジオ受信機で何の対策もせずにエンファシス時定数75μ秒で放送されているTV音声を聞くと高域が強調されて、いわゆる「キンキンした」音になってしまう。

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(7.アナログテレビジョン放送の終焉)
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出典:Wikipedia
2019/08/26 21:00
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