やがて人類は養蜂、すなわちミツバチを飼育して蜂蜜を得る方法を身に付けた。エジプトではおよそ5000年前に粘土製の管状の巣箱を用いた養蜂が始められ、巣箱を移動させながら蜜を採集させること(転地養蜂)も行われた[17]。ギリシア神話には養蜂の神アリスタイオスが登場する[21]。
養蜂は、閉鎖空間の中に巣を作るというミツバチの習性を利用し、内側をくり抜いた丸太や土管、わら縄製のスケップ、木製の桶などを用いて行われる[22]。かつては巣を切り取り、押し潰して蜜を搾り取る方法が採用されていたが、これはミツバチに大きなダメージを与えるものであった[23]。現代的な養蜂では木製の枠の中に巣を作らせ、蜜が貯まると遠心分離器にかける方法が採用されている[23]。遠心分離器による採蜜法は1865年に、オーストリアのフルシュカによって考案された[25]。遠心分離機の活用によってミツバチ一群あたりの蜂蜜の採集量はおよそ5倍ないし10倍に増加した[23]。
採集した蜂蜜には微量の花粉[26]や巣の破片が含まれている。市場に流通している蜂蜜の多くは、それらを濾過した後で容器に詰められている[27]が、濾過には限界があり、若干の不純物が残留する[28]。
蜂は基本的に植物由来の蜜を集めるが、天候不良などによって蜜の収集が捗らない場合は、様々な糖を集める習性がある[29]。ゴミ箱の空き缶からジュースの飲み残しを集めたり、食品工場の廃棄物を集めたりといった事例が知られ、その場合は材料に由来した色彩の蜜となる[29]。例えばチョコレート工場やマラスキーノ・チェリー工場からの廃棄物を集めた蜂によって、赤色や青色の着色剤入りのカラフルな蜜ができることがあるが、こういった蜜は商品価値がなく、養蜂家の悩みの種となる[29]。