民法典論争
▼人気記事ランキング
20.民法典論争の顛末
20.11.財産法はどのように修正されたか

新時代への対応[編集]


ドイツ民法草案に倣い、パンデクテン方式、法律行為理論を採用し、
公法・手続的法規定、商法との重複規定を削除して私法の基本法としての性格を貫徹し、
旧民法に多数あった定義、民法の大原則、分類などの教科書規定をほとんど削除して条文数を大幅に圧縮し、解釈の弾力性を高めて、激動する社会の変化に備えた[1,235]
難解な教科書的規定が一掃されたことで、確かにわかりやすくなったといわれ(利谷[1,236]、福島[1,237])、仏独両民法の歴史的イデオロギーを大胆に捨象した実用法典として、アフリカ諸国からも参照に値するとの評価がある[1,238]

もっとも、明治民法でもなお不完全であり、もっと簡潔にすべきであった(梅)[1,239]、あるいは逆に啓蒙法典を是とする立場から、詳細かつ説明的に規定すべきだった(内田貴[1,240]との批判もある。

例として、物権の定義が複雑化していたのを改め、物権の対象となる「物」を「有体物」に限定(85条)[1,241]

民法典論争での批判にもかかわらず、旧民法が無体物への物権を認めたのは、知的財産権を明文化する狙いがあったが(財4・6条)、民法典には無理に取り込まず、著作権法(1899年公布)などの特別法に委ねることで対処[1,242]

また、ホッブズ流の国家主義も、ルソー流の個人主義も、近世自然法論はいずれも法人を個人と国家の間に位置する中間団体と見て敵視していたから、フランス民法は法人に敵対的姿勢を採っていた[1,243]

前述の幕臣栗本鋤雲によれば、これは英米に比べて経済的に後れをとる一因となる半面、貧富の差の拡大の抑止に繋がっていたが[1,244]

独民法草案を参考に準則主義へ転換し、来たるべき資本主義社会の到来に備えて、法人の規定を拡充させたのも重要である[1,245]

政治的中立性[編集]


ドイツ民法典は、パンデクテン法教科書やザクセン民法典の立場を退け、「総則」の後「物権」ではなく「債務」法を先に置く[1,246]

バイエルン民法草案の立場を採用したものだが、極度の重商主義の現れだとギールケから批判された[1,247]

日本民法はザクセン民法の主義を採用している[1,248]

もっとも、当初債権は旧民法同様「人権」の語が採用されており、独民法に倣い「債務」とすべきという磯部や穂積八束らの主張もあったが多数の支持を得ず、最終的に穂積陳重によって、政治的に無色・無難な「債権」が採用された(星野)[1,249]

倫理への配慮[編集]


旧民法が慣習・倫理に反するとの批判への対応として、明治民法は個別の制度についても修正を加えた[1,250]

慣習法が成文法に優先すべき場合のあることを個別・例外的にのみ認めるのではなく、一般原則として認める(92条[1,251]
金銭に見積もりえないものも、債権の目的となることを認める(399条[1,252]
精神的損害等の無形的損害も、不法行為による損害賠償の対象に含める(710条[1,253]
裁判上の「錯除」に依らなければ効力を生じないとする旧民法の主義は改められ、「法律行為」の「取消」は、「相手方に対する意思表示」のみで効力を生じるとされた(123条[1,254]
旧民法の債権譲渡自由が弱肉強食の社会を招くとの批判に対しては、原則を維持しつつも、例外的に「性質上」できないものがあることを明示し、また当事者の「特約」で予め禁止できるとした(466条)[1,255]

慣習への配慮[編集]


旧民法編纂過程から大きな批判を浴びた物権法分野についても、ボアソナードの土地法構想は大きく修正された[1,256]

日本の慣習に反すると批判された旧民法の賃借権・用益権・使用権などを廃止して所有権を拡充し[1,257]、賃借権を債権と構成して、借地関係については債権たる借地権と、物権たる地上権の二元主義にした[1,258]

これは、物権と債権を明確に区別するパンデクテン方式の帰結の一つである[1,259]

日本独自の制度として、石造建築が主だった西洋諸国と異なり、木造建築が多く、土地と建物を一体と見ないのが東京を中心とする慣習であることから[1,260]法定地上権388条)を新設[1,261]

小作については、普通の土地賃貸借契約による債権と、事実上所有者と大差無い永小作権とに二分する形を採る[1,262]

旧民法は農村に不適合で、その現れとして入会権について規定していないとの批判に対しては、膨大な慣習調査の結果を咀嚼する時間の無いことから、やむをえず妥協的立法で済ませている(263294条[1,263]

この不備は、権利思想・個人主義の発達と相まって、全国の山林を禿げ山にする弊害を生んだ[1,264]

[4]前ページ
(20.10.英法はどのように影響したか)
[6]次ページ
(20.12.古典的自由主義の徹底とその限界)
~目次に戻る
出典:Wikipedia
2020/01/07 21:31
ソ人気記事ランキング
2020/01/20 更新
 1位日本
 2位少年誘拐ホルマリン漬け事件
 3位新潟少女監禁事件
 4位賭博黙示録カイジ
 5位軽井沢スキーバス転落事故
▲上に戻る
[9]Wikipediaトップ
[0]gooトップ
免責事項
(C)NTT Resonant