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不思議の国のアリス
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8.影響
作品の成功によって、『不思議の国のアリス』と続編『鏡の国のアリス』は発表当時から数多くの模倣作を生み出すことになった。例えば19世紀中のものでは、ジョージ・マクドナルド『お目当て違い』(1867年)、ジーン・インジロウ『妖精モブサ』(1869年)、クリスティーナ・ロセッティ『ものいう肖像』(1874年)、ジョージ・エドワード・ファロー『問答の国のウォーリー・バッグ』(1895年)、マギー・ブラウン『王様を捜せ』(1890年)などの模作がある[74]。キャロルが切り開いたこの流れは20世紀に入って以降も受け継がれ、リチャード・ヒューズ『クモの宮殿』(1931年)、マーヴィン・ピーク『行方不明になった叔父さんからの手紙』(1948年)、ステファン・テーマスン『ベッディ・ボットムの冒険』(1951年)、アンソニー・バージェス『どこまで行けばお茶の時間』(1976年)、ギルバード・アダー『針の国のアリス』(1984年)など、現代に至るまで『アリス』に触発されたナンセンス・ファンタジーがしばしば作られている[75]。『Alternative Alices』(1997年)の編者キャロライン・シグラーによれば、『アリス』の模作やパロディーは1869年から1930年の間だけですでに200近くに及んでいるという[76]

その影響は児童文学・ファンタジーの分野に留まらず、ミステリではエラリー・クイーン 「キ印ぞろいのお茶会の冒険」やフレデリック・ブラウン 『不思議な国の殺人』などの『アリス』をモチーフとした小説が書かれ(日本の推理作家には有栖川有栖という、『不思議の国のアリス』に由来するペンネームをもつ人物もいる[注釈 11])、またSFの分野でもジェフ・ヌーン『未来少女アリス』や漫画『ARMS』などで『アリス』の作品世界が引用されているほか、ウォシャウスキー兄弟の映画『マトリックス』シリーズでも『アリス』への頻繁な言及がある。その他近年の漫画やアニメーション、コンピュータゲームまで、『アリス』の世界やキャラクターをモチーフに借りた作品は数多い(#派生作品も参照)。

『アリス』に顕著な影響を受けた20世紀の作家の一人にジェイムズ・ジョイスがいる。ジョイスはキャロルと同様に言語遊戯を駆使した作家でありかばん語の名手であったが、彼が『アリス』を読んだ時期は遅く、最後の小説『フィネガンズ・ウェイク』に取り掛かっていた1927年になってやっと初めて読んだという[78]。しかしこの年以降、『アリス』およびルイス・キャロルから得た素材を進行中の『フィネガンズ・ウェイク』に取り込んでおり、結果作中には明示的な言及を含め『アリス』、キャロルに対する暗喩や引用がしばしば行われている[79]。例えば以下のような文章は、キャロル=ドジソンを視姦者に見立てた性的な暗喩であるとともに、同じ「楽園」を失った苦しみを芸術へと昇華させる芸術家としての立場からの、キャロルへの連帯の呼びかけとも解釈することができる[80]

同じく作中で言語遊戯を用いることを好んだウラジミール・ナボコフは『アリス』の愛読者であり、まだ若い頃にロシア語への翻訳を試み「最高の訳」を自負している。少女性愛者を扱ったナボコフの代表作『ロリータ』にはエドガー・アラン・ポーが幾度も引用される一方でキャロルの名はいっさい出されていないが、インタビューによれば「何か引っかかるところがあり」作中でキャロルの少女を被写体とした写真趣味などにどうしても触れることができなかったという。ナボコフには『鏡の国のアリス』と同じくチェスを題材にした小説『ディフェンス』、『不思議の国のアリス』と同じくトランプを題材にした小説『キング、クイーン、ジャック』もあり、ナボコフの『首切りへの誘い』の結末は『不思議の国のアリス』のそれと酷似しているともしばしば言われている。[82]

20世紀中、「アリス」はシュルレアリスムのインスピレーションの源泉にもなった。アンドレ・ブルトンの『シュルレアリスムとは何か』(1934年)にはシュルレアリスムの精神的祖先としてキャロルの名が挙げられており、ブルトンは1939年には『黒いユーモア選集』に『不思議の国のアリス』の第10章を収録している。アントナン・アルトーも1945年ごろ、アンリ・パリゾーの勧めに従って『鏡の国のアリス』第6章の翻訳を試みている。1950年にはマックス・エルンストがキャロルのノンセンス詩『スナーク狩り』のフランス語版に挿絵をつける一方で、ルネ・マグリットはクノッケ・ズ・ルートのカジノの壁画『魅せられたる領域』の一部として『不思議の国のアリス』を描き、1969年にはサルバドール・ダリが、1970年にはエルンストがリトグラフで『不思議の国のアリス』の挿絵を制作している。[83][84]

音楽の分野ではデイヴィッド・デル・トレディチが『アリス』を題材とした交響曲をいくつか作っているほか、ジェファーソン・エアプレインの代表曲のひとつ「ホワイトラビット」などポピュラー音楽においても『アリス』はしばしば言及される(#音楽を参照)。作中の詩や童謡に曲をつける試みもたびたび行われており、これらはアリスを翻案したミュージカル、バレエ、オペラなどでも使用されている[85]。このほかテニエルの挿絵をもとにしたアリス・グッズなどが現在も多数販売されており[86]、オックスフォードのアリスショップをはじめとして各地にアリス・グッズの専門店がある[87]。『アリス』の世界とそのキャラクターたちはまた、ロリータファッションにおいて欠かせないモチーフにもなっている[88]

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出典:Wikipedia
2020/02/17 23:31
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