福島第一原子力発電所
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5.発電所運営の経過
5.18.TPM活動の導入
2000年代に入ると、製造業や工業プラントで実施されているTPM[218]を東京電力も取り入れ、原子力発電所では本発電所、福島第二原子力発電所が採用した。
東京電力がTPMの予備調査を実施したのは2002年だった[182]。当時の経営ビジョンに沿って東京電力の原子力部門は、設備利用率86%を目標とし、「勝ち残り、選ばれるエネルギー、原子力!〜設備利用率86%達成〜(やろう、86[220])」というスローガンまで掲げた。「勝ち残り、選ばれるエネルギー、原子力!」には原価低減、地域との共生などの課題に前向きに取り組み、電力自由化の中で競争に勝ち抜く思いが込められている。また、スローガンにあるように、2002年度の目標設備利用率は86%と定められた[183]。しかし、同年東京電力原発トラブル隠し事件が発覚した事で現場の業務は対応策に追われ、新たな活動に時間を割く余裕はなくなったという。これを理由に福島第二原子力発電所では導入を遅らせたが、本発電所では第二より2年早い2003年にTPM活動をスタートさせ、当初は細々とした規模であったが継続した[222]。事務局を務める吉澤圧文所長付部長(当時)によれば「不祥事を起こした以上、いままでのやり方を変えるのは大前提だった」「安全は勝ち取るものであり、守りの先に信頼はない、ということがわかった」などと述べている[182]
1〜4号機のユニット所長高橋毅(当時)によれば、活動に当たり、本発電所でのTPM活動実施に際して特徴・課題として認識されたのは下記であった[182]
東京電力が運営する他の原子力発電所と異なり、プラントが大きく分けても3タイプと多様性がある[185]
初期に建設されたプラントであり、図面類の整備が不十分
図面類の整備が不十分なため、運転・保守に当たりシステマチックな対応が取りづらく、それぞれのプラントに「職人」がいるようになり、属人的要素に依存する面が強い[224]
人材育成も上記の事情から(悪い意味で)職人的となっている
協力企業は仕事にプライドがあり安全優先でエラーを出さないよう努力しているものの、改善提案は出にくい[186]
部会としては設備保全改善、人材育成、業務プロセス改善、企業一体感醸成、安全、自主保全の6部会体制とした[226]。また、単純な部門横断で推進せず、ラインの責任者を参加させ、ラインがアイデアを取り入れて仕事を回しやすいように工夫した。2009年時点でのキーワードは見える化で、上述の事情から福島第二より重視していたという。具体的目標をPI(パフォーマンスインジケーター)として設定し、毎月PRM(パフォーマンスレビューミーティング)で検証していた。チームリーダー以下の教育も様変わりし、暗黙知が増加しやすい職人気質的な内容は排除されていったという[182]
協力企業との連携策については本発電所は企業一体感醸成部会を設け、元請会社の事業所長クラスとの会合頻度を高くし、情報交換会も設けていた[186]ただし、同じTPM活動を実施していた福島第二の座談会で、本発電所のGM活動板がGMの理解を得られず失敗した[227]
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(5.17.近代化した運転・保修活動への苦言)
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(5.19.中越沖地震への対応)

218. Total Productive Maintenanceのこと。概念自体は1971年の提唱で、以来提唱者の日本プラントメンテナンス協会機関誌『プラントエンジニア』にて実践例が数多く投稿されていた。
219. 企業レポート 2009, p. 55.
220. 86に「やろう」とルビがふられている。(東京電力社報 2002, p. 19)
221. 東京電力社報 2002, p. 19.
222. 「座談会 東京電力・福島第二原子力発電所のTPM活動」『電気現場技術』2009年3月P2
223. 企業レポート 2009, p. 54.
224. ただし、2005年から所長を務めていた大出厚は「ここには設備のメンテナンスに関するノウハウが多数蓄積されています。(中略)いわば原子力発電所のメンテナンスの最先端を行っているのです」と述べていたことを付記しておく。(大出厚 2005, pp. 19)
225. 企業レポート 2009, p. 57.
226. 当初はTPMの原則に従い7部会を組織したが、ロス部会、業務スクラップ部会を業務プロセス改善部会に統一した。(企業レポート 2009, p. 55)

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出典:Wikipedia
2018/06/17 23:30
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