福島第一原子力発電所
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5.発電所運営の経過
5.16.高経年化対策

背景と課題[編集]


北村俊郎は同世代の中部電力浜岡原子力発電所1、2号機が2008年、6号機の増設と引き換えに耐震補強を諦めて廃止措置された事例と比較し、本発電所1号機が40年以上の稼働を前提とする高経年化措置を取った背景を下記のように分析している[207]

7・8号機の増設が暗礁に乗り上げており、1号機などを廃炉にすれば、地元に雇用問題を引き起こす恐れがあった
首都圏という大消費地を持つことによる経済的余裕
日本最大規模の電力会社としてのプライド
舘野淳は1999年に出版した『廃炉時代が始まった』[208]において高経年化の問題点を下記のように指摘している。

シュラウドなど、設計時に交換を想定していなかった箇所まで取り替えることにより予想もしていなかった不適合が発生する可能性がある[175]
原子炉圧力容器のように交換不可能な部分も残存しており、そうした部分には欠陥が蓄積していく(典型例として中性子照射脆化を提示。同問題については原子炉圧力容器を参照)[176][211]
なお、蓮池透は「一号機の寿命は四〇年という暗黙の了解がありました」と述べている[177]

予防保全活動[編集]


高経年化に対して、東京電力も全く策を講じていなかった訳ではなくそれまでのメンテナンスや研究によって得られた知見を生かして、計画的に予防保全を実施していった。先述した非常用発電機増設、シュラウド交換もこうした予防保全、メンテナンス活動の一環に繰り入れされている。

2011年3月に1号機は運転開始から40年を迎えた。このような老朽プラントが増加することを見越し、2003年に経済産業省は運転開始後30年以上を経たプラントに対して「高経年化技術評価」(PLM) を実施し、10年以内にPLMの再評価を実施する旨、「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」で定めていた。東京電力はPLMに基づく1号機の再評価を実施し長期保守管理方針を策定、運転開始から39年目の2010年3月25日に保安規定の変更を経済産業省に申請した。同様のPLMは2-6号機に対しても実施されている。1号機の再評価はPR記事として『原子力eye』2010年8月号にも紹介された。同記事によれば、1号機が39年の間に受けてきた予防保全作業としては別項で説明したシュラウド交換や発電機増設を含め、下記が挙げられ「心臓部の原子炉圧力容器を除き大半の設備を取替えた」と言う[213]

原子炉再循環系配管の低炭素ステンレス鋼配管への取替え
原子炉格納容器内及び同容器貫通部の制御棒駆動水圧系配管への取替え
水素注入による原子炉水中の溶存酸素濃度低減
腐食・減肉対策、疲労割れ対策
非常用ディーゼル発電機専有化
タービンローター取替え[214]
アクシデントマネジメント対策
同社原子力設備管理部設備改良グループ副長は「こうした技術の蓄積・向上は今後の原子力発電プラントの開発や海外への輸出にも反映させていきたい」とコメントした。

新規建設の低迷と高経年化に伴う保修需要を狙い、原子力産業側も技術開発を進めた。2005年には、東京エネシスがモーター駆動ポンプの異常を検査する携帯型の新装置を本発電所に納入した。この装置はセンサーをポンプの1か所に当てるだけで3次元振動を測定可能で、3か所にセンサーを当てていた従来装置より検査時間を3分の1に短縮出来る。また、ソフトウェアの進歩によりポンプの状態表示や故障原因の分析を過去の蓄積データと比較して実施できるようになっているという[215]

なお、原子力関係でも保修畑の経験が多い大出厚は所長時代に「設備の更改は本当に必要な更改に限って行うことを心掛けてほしい」「言い換えると老朽化や部品の製造中止という一律の基準だけで設備を更改していないか考えるようにしてほしい」「基準を遵守した上で古い設備を上手に使う工夫をする余地があるにも関わらず、それを検討しないで安易に更改という方法を採用しようとしていないか、再度検討する必要があると思います」と述べている[180]

[4]前ページ
(5.15.2004年の組織改編)
[6]次ページ
(5.17.近代化した運転・保修活動への苦言)
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出典:Wikipedia
2018/12/09 11:30
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