福島第一原子力発電所事故
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11.最悪のシナリオ
政府の事故調査・検証委員会が福島第一原発の吉田昌郎所長から聴取した内容(通称「吉田調書」)によると、2号機の注水が停止しベントもできない危機的な状況に陥っていた3月14日から15日にかけて、吉田所長は、このままでは格納容器が破壊され核燃料が全て出てしまう、原子炉の圧力破壊が起きると考えていたという[284]。「放射性物質が全部出てしまうわけですからわれわれのイメージは東日本壊滅ですよ」と語っている。このような恐怖感は、同じ頃総理官邸も共有していて、例えば枝野内閣官房長官は、福島第一から福島第二原発東海第二原発へと連鎖的に事故が進むシナリオが頭の中にあったとのちに語っている[278]。2号機の格納容器が破壊され、放射性物質が大量放出される最悪のシナリオが現実に迫っていた[286]。実際には、2号機は圧力破壊には至らず、格納容器の配管の繋ぎ目が壊れたり蓋に隙間が出来たりして、部分的に放射性物質が漏れ出したのではないかとみられる[287]。なぜ2号機が決定的に壊れなかったのかは、十分解明されていない[288]

菅直人総理大臣は、最悪の場合に何が起きるか具体的なイメージをつかむため、3月22日、近藤駿介原子力委員長に「最悪シナリオ」の作成を要請した。3日後の25日、「福島第一原子力発電所の不測事態シナリオの素描」と題する資料が細野首相補佐官に提出され菅総理に報告された[282]。この資料は閲覧後回収されて存在自体が秘密に伏されたが、2012年2月初めに、内閣府の情報開示で公開された[290][291]。この資料で示されたシナリオでは、1号機で再び水素爆発が発生した場合、放射線量上昇により作業員が全面撤退を余儀なくされ、他の号機への注水も止まり、4号機の使用済み燃料プールの燃料損傷が発生、使用済み燃料プールでコアコンクリート相互作用(溶融燃料コンクリート相互作用、MFCI)が発生する[292]。この場合、4号機の使用済み燃料プールからの放射性物質の放出量が最も多く、避難規模を大きく左右することになる。その結果、チェルノブイリ事故で適用された基準を当てはめると、170km圏で強制移住、東京を含む250km圏で避難を求めることが必要になることが示されている。菅直人も2013年11月8日ハフィントン・ポストにて、最悪の場合東京を始め首都圏を含む5000万人の避難が必要となる可能性があったと述べた[293]

この4号機の燃料プールは、事故収束宣言後の2012年4月12日にも、冷却装置の警報が作動し、温度上昇が発生した。水漏れや異物の混入などの可能性が懸念されている[294]

共同通信配信の産経ニュースほか国内多くの報道機関や米国ビジネスウィークなどは、2012年2月21日発表されたNRCの事故当初10日間の3200ページ[295]からなる自動録音の電話会議記録文書について報じた。3月16日グレゴリー・ヤツコ委員長は「最悪のシナリオはおそらく、3つの原子炉がメルトダウンすること。格納容器が壊れ、放射性物質の漏出が起きそうだ。漏れの規模を予測するのは難しい」一方、「風が東京に向かって吹いている場合、東京にどう影響が及ぶのか」と懸念する出席者に「現時点で米国民の退避範囲は、50マイル(約80キロメートル)でいこうと思うが、不確実であり、拡大する可能性はある」と答えた。これらのことはメルトダウンの可能性を認めようとしなかった日本政府のリスクに対する危機意識の違いがあった[296][297]

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出典:Wikipedia
2018/12/12 13:31
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