なお、ウクライナ歴史学諸派によれば、居住地域、言語・伝統などを考えた場合、ルーシ人はウクライナ・ルーシ人(ウクライナ人やルシン人)になったと考えるのが妥当で、モスクワ歴史学でいうようにロシア人がルーシ人の直系の子孫であるのならば、彼らの近世に至るまでの出自が不明になってしまうという。彼らの歴史学では、東スラヴ人というのは並列する各民族の集合体であり、分岐する共通の祖先を前提とはしない。
ロシア人の地域にはもともとロシア人に連なる東スラヴ系の民族が居住しており、それらの民族がロシア人のルーツであるという意見がある一方、現代でも「ウクライナ人・ベラルーシ人などというのは民族主義に毒されてごく最近に現れた人工的な民族区分であり、本来彼らはすべてロシア人である」と主張する人も少なくはない。