上方落語
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3.江戸落語との違い
3.2.演目
古典落語については、3代目柳家小さんらによって多くの上方の噺が東京に移植され、逆に東京から上方に移植された噺もある。そのため、同じ内容でも上方落語と江戸(東京)落語で題名が異なる噺や、「饅頭こわい」のように中身まで異なる噺もある。ただし片方にしかない噺については、東西交流の進んだ太平洋戦争後はこの限りではない。

江戸→上方:「酢豆腐」(上方では「ちりとてちん」)、「花見の仇討」(同「桜の宮」)、「反魂香」(同「高尾」)、「締めこみ」(同「盗人の仲裁」)、「唐茄子屋政談」(同「南京屋政談」または「なんきん政談」)、「芝浜」(同「夢の革財布」)など。
上方→江戸:「らくだ」、「二番煎じ」、「かぜうどん」(東京では「うどん屋」)、「猫の災難」、「二階ぞめき」、「碁どろ」、「不動坊」、「高砂や」、「青菜」、「みかん屋」(同「かぼちゃ屋」)、「時うどん」(同「時そば」)、「三十石」、「貧乏花見」(同「長屋の花見」)、「子ほめ」、「牛ほめ」、「地獄八景亡者戯」(同「地獄めぐり」)、「宿屋仇」(同「宿屋の仇討」)、「高津の富」(同「宿屋の富」)、「いらちの愛宕詣り」(同「堀の内」)、「鴻池の犬」(同「大どこの犬」)、「菊江仏壇」(同「白ざつま」)、「けんげしゃ茶屋」(同「かつぎ茶屋」)、「米揚げ笊」(同「ざる屋」)、「借家借り」(同「小言幸兵衛」)、「立ち切れ線香」(同「たちきり」)、「佐々木裁き」(同「佐々木政談」「池田大助」)、「高倉狐」(同「王子の狐」)、「百人坊主」(同「大山詣り」)、「寝床」、「近日息子」、「饅頭こわい」、「景清」、「笠碁」、「三枚起請」、「仔猫」、「百年目」など。
上方のみ:「池田の猪買い」、「冬の遊び」、「算段の平兵衛」、「莨の火」、「土橋万歳」、「有馬小便」、「日和違い」、「欲の熊鷹」など。
江戸のみ:「三軒長屋」、「黄金餅」、「大工調べ」、「佃祭り」、「よかちょろ」、「五人廻し」など。

旅ネタ[編集]


上方落語の中心をなす「旅ネタ」は、「東の旅」「西の旅」「南の旅」「北の旅」の四つに分かれる。入門したての落語家は、一門によっては口馴らしとして「発端」を教わるが、「東の旅」の「三十石」のようにかなりの技量を要するネタもある。

東の旅:本題「伊勢参宮神乃賑」。「発端」、「煮売屋」、「七度狐」、「軽業」、「三人旅」、「運つく酒」、「矢橋舟」、「宿屋町」「こぶ弁慶」、「三十石」などで構成される。伊勢神宮参詣の道中を主題とする。
西の旅:「明石名所」、「兵庫船」(「兵庫渡海鱶魅入」)。金刀比羅宮参詣が主題。
南の旅:「紀州飛脚
北の旅:「池田の猪買い
このほかの旅ネタには、冥土の旅に「地獄八景亡者戯」、海底の旅に「小倉船」(「竜宮界竜の都」)、天空の旅に「月宮殿星の都」、異国の旅に「島巡り」(「島巡り大人の屁」)があり、いずれも、奇想天外な内容ではめものを用いた派手な演出が見られる。

人情噺[編集]


落とし噺(狭義の落語)と並んで江戸落語の軸を成す人情噺(狭義の人情噺。内容が講談に近く、サゲがない。「牡丹灯籠」、「文七元結」、「真景累ヶ淵」など)は、上方落語には存在しないと言ってよい。広い意味での人情噺に含まれるとされる「立ち切れ線香」、「ざこ八」、「大丸屋騒動」などは落とし噺である。ただし、「鬼あざみ」のように例外的にサゲがつかないネタもある(講釈から移植されたものなど)。この差異に関して「上方では浄瑠璃が確固たる地位を築いていたので、落語が人情噺を受け持つ必然性が薄かったからだろう」と桂米朝は述べている。

東西交流の進む現代では、人情噺を上方風の演出で口演する落語家がいるので「上方には人情噺はない(少ない)」という原則も崩れつつあるが、総体的には上方の演目は落とし噺が中心である。

芝居噺[編集]


歌舞伎をテーマにした上方落語には

1. 歌舞伎の芝居をそのままに演じるやり方:「加賀見山」「本能寺」「自来也」「綱七」

サゲ:普通のサゲが用いられる場合と、幕切れのあと、「やあれ、日本一だっせ。日本一」「やかましなあ。あんさん。日本一って言うてんと、成駒屋、葉村屋言うて誉めなはれ」「いいえな。わたい、日本橋一丁目の薬屋の者だすねやが、ここで店の宣伝しょう思いまして。やあれ、日本一!」すると小屋の若いもんが来て「こら。日本一の薬屋ておのれかい」「へえ」「こっちへこい」「もうし、何しなはんねん!」「二三丁ほど振り出したるんじゃ」とサゲるパターンとがある。

2. 普通の落語から芝居になるやり方:「昆布巻芝居」「蛸芝居」「蔵丁稚」「質屋芝居」「足あがり」「七段目」(登場人物が芝居好きで俄で演じ出すという仕立てになっているものがほとんど)

サゲ:ここでは普通のサゲである。

の2種類に分別される。

江戸の芝居噺の演出は人情噺の途中から一転、衣装を引き抜き背景に書割を設けるが、上方はそのような演出は用いない。明治期に初代桂文我、昭和に入って初代桂小春團治、東京に移った桂小文治などが得意としていたが、上方落語や上方歌舞伎の衰退などが原因で、現在ではそのほとんど(特に1. のやり方)が絶滅している。ただ、初代小春團治が花柳芳兵衛として舞踊家に転じたのち、芸の伝承のためNHKに幾つかのネタを映像として収録させており、現在、桂米朝らがそれを元に「本能寺」や「そってん芝居」などの復活を試みている。

新作落語[編集]


昭和に入っていくつかの新作落語が東西の落語界で作られたが、上方では4代目桂米團治作「代書」(「代書屋」とも)、3代目桂米朝作「一文笛」、3代目林家染語楼作「青空散髪」、三田純市作「まめだ」などが古典の範疇になっており、一部の演目は東京でも演じられている。現在は、桂三枝(現・6代目文枝)(「妻の旅行」、「鯛」、「ゴルフ夜明け前」などを創作)を中心に「創作落語」の名でさかんに作られている。
小佐田定雄一門のように専業の落語作家が存在するのも特徴である。2代目笑福亭松之助は「明石光司」、4代目桂文紅は「青井竿竹」の筆名で、新作を手がけていた。

登場人物[編集]


噺の登場人物は、喜六、清八、おさき、源兵衛、家主、医者(「赤壁周庵」の名が多い)、上町のおっさんなど。

喜六(喜イ公、喜イさんとも)は、江戸の「与太郎」にあたる「アホ」役だが、生業(下駄屋がよく出る)を持ち、妻帯(妻の名は「おさき」「お松」がよく用いられる)している点が「与太郎」と異なる。性格は、与太郎が天然の馬鹿と設定されることが多いのに対し、どことなく醒めたところがみられる。(→「喜六と清八」も参照のこと)

江戸落語によく出てくる熊五郎、八五郎は、上方では喜六・清八の役どころとなる。上方で熊五郎、八五郎の名が登場するのは「らくだ」「へっつい幽霊」に「脳天の熊五郎」(「らくだ」では「弥猛(ヤタケタ)の熊五郎」とも)、「八五郎坊主」に「八五郎」があるくらいである。また江戸落語「三軒長屋」などに出てくる大工の棟梁は、上方では手伝い(テッタイ)の又兵衛として登場する。

時代設定を特に定めない、あるいは庶民にも名字を名乗ることが許された明治以降に置いた演出では、演者にゆかりのある噺家の本名に因みかつ一般的な姓が出る場合がある(例えば6代目松鶴一門なら「竹内さん」、林家一門なら「大橋さん」「岡本さん」)。

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出典:Wikipedia
2019/08/25 00:30
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