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女子柔道強化選手への暴力問題
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1.概要
1.8.JOCによる処分
3月19日にはJOCが理事会を開き、「緊急調査対策プロジェクト」による最終報告書を踏まえたうえで、強化合宿においてなされた暴力や侮辱的発言を「重大な不当行為」と認定して、全柔連に対する今年度の交付金を停止することに決めた。なお、2012年度の交付金は約2,500万円だった[133]。調査に当たった弁護士の山内貴博によれば、昨年12月4日に提出された最初の告発文では特定の選手に対する暴力ではなく、柔道界全体のハラスメント行為に関するものだったが、それを全柔連の調査では特定の選手のケースだけに矮小化したと、全柔連側の初期対応の稚拙さを改めて問題にした[134]

JOCの調査報告書では、前監督の園田による問題行為として、合宿や試合会場で複数回、感情に任せて一部選手の顔を強く平手打ちして、時に外国人が止めに入ることもあったことが指摘された。さらに、棒や鞭状のもので選手を威嚇しながら「叩かれないと動けないなら家畜と一緒だ」「消えろ」「能なし」「ブタ」「ブス」などと罵声を浴びせる行為や、ケガをした選手の状態を考慮せずに大会や合宿参加を強要したことも合わせて指摘された。前コーチの徳野の場合は、練習を真剣に行っていないように見えた選手に対する感情に任せた暴力行為が指摘された。また、前強化委員長の吉村を始めとした連盟上層部が、園田体制における選手への不当行為を認識していなかっただけにとどまらず、一部不当行為に自ら加担して問題の解決を怠ったとした上で、「組織として行った不当行為」にも言及した。具体的には、吉村が選手の練習中に道場の脇で居眠りやマッサージ行為に耽っていたことや、コーチに馬乗りになって口を塞ぐといった悪ふざけ行為をしていたこと、強化コーチの徳野が寝技の練習において選手の口を塞いだり、虫の死骸を近づけたりする嫌がらせ行為、それらを他のコーチは認識していながら黙認して改善に向けた行動を取らなかったことを挙げた。続いて、代表選考の過程に透明性が確保されていないことから、指導者に逆らうと選手選考において不利に扱われるのではないかとの不安・疑念を生じさせたこと、連盟の意向や都合により負傷した選手を合宿や大会に参加させて悪化させたこと、ロンドンオリンピック代表選手の発表において、落選選手の表情をテレビ中継するといった選手の尊厳を傷つけた行為を挙げた[135][136]

また、園田の監督時代に選手がメッセージカードを手渡したり、「園田組」というTシャツを作っていたりと、一見良好な関係を築いていたように見えたものは、ある選手が「園田監督を勘違いさせた私たちが悪かった」といみじくも語ったように、全て園田に配慮した上での演技であったとJOC理事の藤原庸介は明らかにした。続けて、園田は突如として目が据わり、怒りで我を忘れる傾向にあり、「選手は園田監督を心の底から恐れていた」とも語った。なかには園田の顔を見ただけで吐き気を催す選手さえいたという。このような状況が一方でありながら、前強化委員長の吉村や園田は選手との信頼関係を全く疑っていなかったという。かくの如き実態に藤原理事は「負傷しても相談できず、試合出場を強要される。これが一番の暴力」と述べるとともに、「園田監督も指導者としては非常に有能だった。選手側も人をあてにして自分の意見を伝えていない。」と付け加えた。同じくJOC理事の荒木田裕子も「正直びっくりしましたし、おぞましい」と述べるとともに、「ボタンのかけ違いがどんどん大きく広がっていった印象」と語った[137][138][139]

このような状況を踏まえた上で、JOCは全柔連に対して13項目にわたる改善勧告を求めるとともに、3カ月ごとに改善策の達成状況の報告を義務付けた。JOC自身に対しても相談窓口の設置や、問題が生じた場合に日本スポーツ仲裁機構を通しての態勢づくりなど10項目の改善策を求めることになった[140][141]。全柔連に対する13項目の改善勧告の概要は以下の通り[142]

13項目の改善勧告(概要)(1)指導者による不当行為をやめる

(2)対話による信頼関係の醸成。

(3)コーチの資格制度の確立や講習制度の導入

(4)代表選手選考の透明化

(5)大会、合宿への医師の同行

(6)合宿や大会での過度の負担を強いない工夫

(7)上下関係にかかわらず、対話が行われる環境整備

(8)不当行為に関する相談窓口の設置

(9)日本スポーツ仲裁機構による仲裁自動受託条項の採択

(10)企業や大学など各チームと対等で円滑な意思疎通

(11)醸成の身体的特徴や社会環境に応じた適切な対応

(12)監督やコーチ、選手がオリンピックムーブメントを理解する

(13)申し立てを行った選手に報復、不利益な取り扱いをしない
これを受けて全柔連会長の上村は「財政的な影響より、処罰を受けたことを重く受け止めたい」と語った[143]。さらに、JOC理事会後に常務理事でもある上村は、今年6月の任期満了に伴い理事を退任することを明らかにした。後任には山下泰裕を推薦することになった[144]。山口は選手の声が入っているJOCの報告より先に全柔連が強化委員会も開かずに監督人事を進めたことに不快感を示した[145]。一方、JOC理事の藤原からは山口がJOC理事でもありながら、全柔連広報副委員長や筑波大学大学院准教授などの肩書きでの登場であったとはいえ、マスコミにおいてJOCが調査中の事柄を盛んに発言していたことへの苦言を呈されると、「選手にはそれだけ頼る人が少なかったということ」と弁明した[146]

3月20日には女子強化委員会が開かれて、18日の理事会で代表選手選考における基準の明文化を決定したことを受けて、5月の選抜体重別までに選考基準を作成することを確認した。6月の理事会で諮られることになる。強化委員会後に新監督となった南條は「園田監督が目指した方針は間違っていなかったんですが、方法論が間違っていたから問題が出た」「チームワークを大事にし、風通しの良い環境をつくることが大事です」と抱負を述べた。また新設の女子強化部長に就いた増地も「女性コーチを増やすのならば(育児面などの)支えが必要となる。そういう意見も言ってロールモデル(手本)として働きたい」と語った[147][148]。一方、告発選手の代理人を務めた弁護士の辻口は関西大学で開かれた「スポーツにおける暴力」というシンポジウムにおいて、全柔連の現体制が温存されたことに関して「それでいいのか、いうのはある。すごい組織ですよね。普通では考えにくい」との感想を述べた[149]

3月21日の講道館理事会において、講道館館長でもある上村は一連の不祥事に関する事情経緯を説明した。また、全柔連は第三者委員会やJOCの提言を受けて暴言などの「禁止用語」を細かく規定した指導者ガイドラインを作成することに決めた[150][151]

19日には「柔道界の中に入りこまないように、少し外から期待して見守るしかない」とも話していた山口は全日本学生柔道連盟会長でもある佐藤宣践の推薦もあり、ロサンゼルスオリンピック60 kg級金メダリストの細川伸二に代わって3月20日付けで女子強化委員に就任することになった。その際に「選手や指導をされる先生方がやりやすい環境になるよう、思うところを発言していく」と語った[152][153][154]。さらに、コマツ杉本美香了徳寺学園福見友子がコーチ就任を要請されたものの、両者とも指導経験の少なさの他に杉本の場合は膝の手術などで暫く現場に出てこれないこと、福見の場合はまだ現役であることを理由に辞退した[155]。一方、イギリスに海外研修中の特別コーチである綜合警備保障塚田真希も帰国次第コーチに就くことになった。4月からフランスへ2年間の研修に向かうコマツの谷本歩実も特別コーチとなる[156]。これで、園田体制の下でコーチとして残っていた田辺勝、貝山仁美、薪谷翠、渡辺一貴は全員新体制から外れることになった。強化委員長の斉藤は告発した15選手にも配慮した上で人事を一新した強化体制になったと語った[157]

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(1.7.全柔連の対応)
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(1.9.新体制の始動)
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出典:Wikipedia
2020/01/31 17:04
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