皇帝
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2.東アジアの皇帝
2.5.日本の天皇あるいは皇帝
古代の日本は、中国の三皇の一つ「天皇」を、和名の君主号「すめらみこと」に当てた。歴史学者の間では、「天皇」という称号の出現は天武天皇の時代とする説が有力である。「天皇」号の使用は、607年聖徳太子煬帝に送った手紙において、隋との対等を表明するため「日出づる処の天子」や「東の天皇」と記したことに由来し、663年の白村江の戦いにおいて唐・新羅連合軍に敗れたことで、明確に唐と対等の独立国家であることを主張するためにとられた方策であったと考えられる。

養老令天子条において、「天子」および「天皇」の称号とともに、「皇帝」という称号も規定されている[27]。「華夷」に称するものとして規定されているが、「華夷」の意味については、「内国および諸外国」と解する説と「中国その他の諸外国」と解する説が対立していた。

天皇(すめらみこと)と異なる用法での尊号としては、758年に淳仁天皇が即位した際、譲位した孝謙天皇に「宝字称徳孝謙皇帝」、孝謙の父聖武天皇に「勝宝感神聖武皇帝」の尊号が贈られている。また、翌年には淳仁天皇の父である舎人親王が「崇道尽敬皇帝」と追号されている。「文武天皇(もんむてんのう)」といった今日使われている漢風諡号は、聖武および孝謙(称徳)を除き8世紀後半に淡海三船が撰んだことに始まる[28]ため、その直後に完成した『続日本紀』では原則として巻名に天皇の和風諡号が用いられているが、孝謙天皇のみ巻第十八から巻第二十まで「宝字称徳孝謙皇帝」の漢風尊号で記載されている点で特異である[29]。なお、重祚した巻第二十六から巻第三十では巻名に「高野天皇(たかののすめらみこと)」の和風の号が用いられている(重祚後の漢風諡号は称徳天皇)。

近世以降の西洋においては、日本に関する最大の情報源であるエンゲルベルト・ケンペル著の『日本誌』において、徳川将軍は「世俗的皇帝」、天皇は「聖職的皇帝」(教皇のようなもの)と記述され、両者は共に皇帝と見なされていた。その一年前に出版された『ガリバー旅行記』においても、主人公のガリバーが「江戸で日本の皇帝と謁見した」と記載されている。

1854年の日米和親条約では条約を締結する日本の代表、すなわち徳川将軍を指す言葉として「the August Sovereign of Japan」としている。これは大清帝国皇帝を指す「the August Sovereign of Ta-Tsing Empire」と同じ用法であり、アメリカ側は将軍を中華皇帝と同様のものと認識していた[30]。日本側ではこれを「日本君主」や「日本大君」と訳した。幕末に来日したヨーロッパ諸国外交官の記録によると天皇は「ミカド(Mikado)」「ダイリ(Dairi)」、徳川将軍は「タイクン(Tycoon)」と呼ばれていたという[31][32]

ヨーロッパの言語で日本の「天皇」の訳語には、中国の「皇帝」と同じ訳語(英語の Emperor やドイツ語の Kaiser など)が用いられる。

天皇の語は天皇を指す語として明治時代まで一般的ではなく、天皇は皇帝、主上、天子、国帝、皇上、聖上、至尊など様々に表現された。元老院における憲法草案も第二次草案までは皇帝表記になっていた。同じ時期に民間人の作成していた憲法案もほとんどが皇帝か国帝の表記になっている。だが元老院の第三次草案で天皇表記となり、明治憲法においても天皇と表記され、英訳も「Emperor」で確定した[31]皇族は英語では the imperial family となる。外交上も一度は「天皇」号への統一が外務省により定められたものの、日清修好条規のための交渉過程における清朝の反発もあり、「皇帝」号が用いられるようになる。欧米に対しても、従前のMikadoやTennoに代えてEmperorが用いられるようになった。しかしながら、昭和期になると外交上も「天皇」号を用いるべきとの議論が起き、その結果、専ら日本語訳における限りにおいて「天皇」号が用いられることとなり、1936年(昭和11年)には「天皇」に統一された[11]。現在の天皇は、日本国憲法に定められた日本国および日本国民統合の象徴たる地位、または当該地位にある個人である[11]

『日本大百科全書』によれば、天皇に通常の立憲君主の権限は無く、『法律用語辞典(第4版)』によれば、象徴天皇と元首天皇は別となっている[15]。『国史大辞典』によれば法制上、象徴天皇は君主ではないとされている[33]

このように、現行の日本国憲法での天皇は君主・元首でないという辞事典の記述もあるが[34][35]、諸説ある。

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(2.6.近代日本外交における「皇帝」の使用)
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出典:Wikipedia
2019/06/26 10:30
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