国際音声記号
▼人気記事ランキング
4.問題点と批判およびそれへの対応
国際音声記号が見慣れない多数の記号を使っていることは、当初からヘンリー・スウィートらによる批判があった[3]。また、いくつかの字形が類似していること(特に[a][?]はフォントによっては見分けがつかなくなる)ことに対する批判もある。
破擦音は多くの言語で単独の音素であるのに、専用の文字を持たないことも批判されることがある。たとえばアメリカの人類学者・言語学者の使う音声記号(アメリカの音声記号)では破擦音のための専用の記号がある。
母音は基本母音を元にしているが、(第一次)基本母音が8個であるのをフランス語の影響によるものとして、半狭母音半広母音の中間の位置にある母音を持つ多数の言語が記述しにくいとする批判もある[4]。ただし、IPAの方針としては、対立がない場合は通常のラテン文字と同じ形([a,e,o]など)を使うことになっている。
IPAの表では、母音の高さを7段に分けているが、これほど細かい区別をする言語は存在しない。ひとつの言語で区別される高さは4段か、多くても5段だという[5]。前舌・中舌・奥舌の3種類の区分についても2種類に減らす案もあるが[6]、こちらは実際に3種類の区別が必要な言語が少数ながら存在するという[7]
ラテン文字を基盤としていることから、文字帝国主義の一類型であるラテン文字帝国主義を促進する効果があるとしてその中立性を批判する声がある。また調音点や調音器官と図形が対応する音素文字を支持するグループからは、IPAはそのような対応が恣意的であるため批判される。それ以外にも、音声の区切り方で、張唇と平唇を同じ非円唇にまとめているのはおかしいなどといった、どの音声をひとまとめにして記号で表記するかという、すべての表音文字に共通する批判もある。
これらに対しては、IPAに問題点があるにせよ、現実にはこれ以外に普及した共通の表音文字がなく、またIPAを使用しても音声表記、音素表記双方で致命的な問題点が生じることはないため、新しい音声の発見に応じた微修正は必要不可欠だが、IPA自体の廃棄や作り直しは必要ないという意見が主流派の言語学者の間でのコンセンサスである。
[4]前ページ
(3.4.補助記号)
[6]次ページ
(5.脚注)

3. Collins & Mees (1998) p.49
4. チャオ(1980) pp.38-42
5. Ladefoged & Maddieson (1996) pp.289-290
6. Chomsky & Halle (1991) pp.304-305 では高さを3種類、前後を2種類しか認めない
7. Ladefoged & Maddieson (1996) pp.290-291

~目次に戻る
出典:Wikipedia
2018/06/07 20:00
ソ人気記事ランキング
2018/06/21 更新
 1位寺田屋事件
 2位大阪府北部地震
 3位ドーハの悲劇
 4位セオドア・カジンスキー
 5位6月20日
▲上に戻る
[9]Wikipediaトップ
[0]gooトップ
免責事項
(C)NTT Resonant