原子論
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4.現代の自然科学における原子論の後退、他の説明体系
何らかの粒子的な単位の存在が認められ道具として用いられるようになるのと平行して、「分割不可能」という概念のほうは後退してゆくことになった。

原子の存在自体がまだ広くは認められていなかった20世紀初頭においても、つまり、物質がのっぺりとしておらず何かしらの単位がある、と自然科学者によってようやく考えられるようになった。それが「Atom」と呼ばれるようになった20世紀初頭においても、原子の存在が実証される以前に電子が発見されていた事から、「原子は、『負の電荷を持った電子』と、『正の電荷を持った何か』でできている」という議論がなされるようになった。つまり下部構造についての議論が始まっており、それが電子と原子核からなることも、ほぼ確実視されていた[2]。皮肉なことに、Atom「原子」という言葉がようやく科学的なものとして用いられ始めたころには、原義の「分割不可能な最小単位」どおりのものではなくなっていたのである。さらに「原子核の内部構造として「陽子」と「中性子」が存在する」と考えられるようになり、さらにAtomという概念からは遠のいた。さらに、その後のさまざまな研究により、その陽子や中性子も「分割不可能」ではなく「内部構造(下部構造)を持つ」とされるようになった(後にその内部構造は「クォーク」と呼ばれる)。

また、古代原子論や近代の原子論のように「ある大きさを持つ粒子」が物質の基本単位になっている、とする考え方とは異なった、「大きさを持たない点」によって物質が成立している、とする考え方も生まれた。原子は、その大きさの10万分の1の大きさしかない原子核の周りを電子が回っていることから、原子の領域はほとんど空間である。よって大きさのない複数の点粒子が運動する有限の領域がハドロンの領域であり、点粒子から有限の大きさの物質が構成されるという考えは可能となった。もっとも数学上は無限小の点が無限に集まって有限の大きさとなる考えも可能であるが、無限の点粒子を集めることより、点粒子の運動領域による有限大物質の構成の考えのほうが現実的である。また、プランクは粒子説による困難を回避するために、空間の側に最小単位があるとする考え方(プランク長)を発表した。

現在では、“原子”の内部構造のことは、世界的には、「subatomic particles」などと呼ばれている。つまり、“分割できない”という、根拠が不確かな概念は用いることを慎重に避けている[3]

subatomic particlesには、いくつかのタイプがあるとされ、陽子や中性子はハドロンとしてひとくくりにされている。今のところ(2009年現在)、レプトンとクォークが、発見されている中では最小の構成要素であるともされている。また、現代においても、についての理論や仮説を説明するのに、相手が一般人の場合に「場」という用語を避けて、科学としてはあまり適切ではないと知りつつも「粒子」という用語を使う例もある(ヒッグス粒子など)。だが、いずれにせよもはや世界の自然科学者は、科学的に正式な言明としては、「これが最小単位だ」などと根拠も無しに断言するようなことは行わない。レプトンクォークも、さらに内部構造が発見される可能性がある、と考えている。坂田昌一は物質の下部構造は無限に続くとする、無限階層論を提唱した。

また、超ひも理論においてはすでに、全てのsubatomic particlesは有限な大きさを持つ「ひもの振動状態」であるとされている。もっとも、超ひも理論を支持する立場においても、このひもが物質の最小単位であるとの主張はされておらず(ひもが中間単位である可能性は肯定も否定もされていない)、例えば「ひもの組成は何か。ひもの内部構造はあるのか?」という議論を立てる事は可能である。一般に現代の物理学者は、いかなる立場であれ、正式の論文で「最小単位だと検証された」などとは断言していない。

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出典:Wikipedia
2019/07/14 12:00
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