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フランツ・カフカ
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5.評価と影響
5.3.後世への影響
1930年代から40年代にかけてカフカの国際的名声が高まると、各国の作家のなかにカフカの影響が現れるようになった。フランス、イギリスよりややカフカの受容が遅れたアメリカ合衆国では、主に1940年代以降、バーナード・マラマッドJ・D・サリンジャーノーマン・メイラーフィリップ・ロスソール・ベローといったユダヤ系の作家にカフカの影響が現れている[118]。J.D.サリンジャーは1951年のインタビューで最も好きな作家としてカフカの名を挙げており、1959年の『シーモア―序章』にはモットーとして、キルケゴールとともにカフカの日記が引用されている。フィリップ・ロスはより後の世代であるが、『ポートノイの不満』(1969年)はカフカの「父への手紙」のアメリカ版とも言われており、カフカはロス自身のユダヤ的自省の中心点となった[119][注釈 32]

フランスでは実存主義文学のあとヌーヴォー・ロマンが登場するが、その代表的作家であるアラン・ロブ=グリエはカフカの文体と世界観を見習うべき模範とした。ロブ=グリエはカフカを、世界の意味連関から切り離された事物のありようを書き留めるリアリズム作家だと解釈しており、このようなカフカへの解釈の影響はロブ=グリエ自身の小説にも如実に現れている[120]。また同じくヌーヴォー・ロマンの代表的作家であるナタリー・サロートは「ドストエフスキーからカフカへ」(『不信の時代』所収)の中で、19世紀から20世紀にかけてのヨーロッパ文学の到達点の一つとしてカフカを捉えている。

1960年代以降、ラテンアメリカ文学が世界的なブームとなる中、マジック・リアリズムの旗手としてブームの中心にあったガブリエル・ガルシア=マルケスは、自身の作風を形作るきっかけをカフカから得ている。マルケスのマジック・リアリズムは彼の祖母に聞かされた民間伝承や戦争体験がその基盤となっているが、それを小説によって表現しようと思い立ったのは17歳の時、ボルヘス訳の『変身』を読んだことによってであった[121]。マルケスが初めて小説を書いたのは『変身』を読んだ翌朝であり、特に初期の短編はカフカの『変身』がその基盤となっている[122]

このほかにも広い地域に渡り、カフカの影響を受けた多くの作家が現れている。主な作家としてはドイツマルティン・ヴァルザー[1]ペーター・ヴァイス[注釈 33]イギリスアラスター・グレイ[注釈 34]チェコミラン・クンデラ[注釈 35]ボフミル・フラバル[注釈 36]アメリカジョゼフ・ヘラー日本安部公房[注釈 37]小島信夫[注釈 38]倉橋由美子[注釈 39]アルバニアイスマイル・カダレ南アフリカJ.M.クッツェー[注釈 40]メキシコカルロス・フエンテスイタリアトンマーゾ・ランドルフィ[注釈 41]ポルトガルジョゼ・サラマーゴイスラエルアハロン・アッペルフェルド[注釈 42]などがおり、またSF作家のアンナ・カヴァン[注釈 43]フィリップ・K・ディックなどにもカフカの影響が及んでいる。これらの流れはより新しい世代の作家であるオースター[注釈 44]ゼーバルト[注釈 45]村上春樹[注釈 46]トゥーサン残雪[注釈 47]などを経て、今も絶えることなく続いている。

文学以外の分野では、映画監督のデイヴィッド・リンチ[注釈 48]ラース・フォン・トリアー[注釈 49]、漫画家のアート・スピーゲルマン[注釈 50]らがカフカへの愛着やその影響を語っており、日本でも漫画家の西岡智(西岡兄妹[注釈 51]にカフカからの影響が指摘されている。現代美術ではズビネック・セカール[注釈 52]レベッカ・ホルン[注釈 53]、玉野大介[注釈 54]にカフカを題材にした一連の作品があり、また「オブジェ焼き」で知られる陶芸家八木一夫の作品にも『変身』をモチーフにした「ザムザ氏の散歩[143]」(1954年)がある。このほか「判決」の一節から題を取ったエサ=ペッカ・サロネンの楽曲『…一瞥して何も気付かず…』や、フランク・ザッパイアン・カーティスが「流刑地にて」からインスピレーションを受けてそれぞれ曲を作っている例、ロックバンドの歌詞やバンド名にカフカの名やその作品からの引用が行われる例[注釈 55]など、音楽の分野にも影響を与えている。

現代では、カフカの作品を思わせるような不条理で非現実的な事柄に対して用いるカフカエスク(Kafkaesque、日本語では「カフカ風」「カフカ的」)という言葉が定着しており、文学の世界に限らず広く用いられている。

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(6.1.カフカへの解釈)
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出典:Wikipedia
2020/01/11 21:30
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