セミオートマチックトランスミッション
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2.歴史
2.3.自動クラッチ車
1930 - 1960年代にはマニュアルトランスミッション(以下、MT)の変速機構のままクラッチのみを自動化したセミATがヨーロッパで市販された。小型車 - 中級大衆車では古くはサキソマット英語版に代表される遠心クラッチと真空サーボ(バキュームアクチュエータ)の併用式が用いられ、後にアクセル開度に応じて制御されるソレノイドを利用した電磁クラッチや油圧で乾式単板クラッチを作動させる方式(ルノー・トゥインゴの「イージーシステム」など)が登場、中級以上の車種の一部には流体継手(トルクコンバータ)と乾式単板クラッチの併用式(ポルシェ・スポルトマチック)も用いられた。

自動クラッチ車はシフトレバーがニュートラルに入るか、ギアを入れる方向に力を掛けた際に負圧や油圧で強制的にクラッチを断続する事で、クラッチペダル無しでも変速操作が完了するようになっている。日本の自動車メーカーが国内向けとして販売した車種では、1950年代末から60年代に掛けて、RT20型トヨタ・コロナや310型日産・ブルーバード、AF7型コニー・360などでサキソマットの採用例があり[2]、その後、1960年代初頭に神鋼電機日野自動車と電磁式オートクラッチを共同開発。日野・コンテッサに「シンコー・ヒノマチック」[3]、富士重工業(現・SUBARU)もスバル・360に「オートクラッチ」として採用した[4]。なお電磁式はシフトレバーに静電容量スイッチが内蔵され、シフトレバーに触れることでクラッチを切断する構造となっていた[注釈 4]。しかし、意図せずシフトレバーに触れて不意にクラッチが切れることを防ぐため、レバーに触れ始めてからクラッチが切れるまでにある程度のタイムラグが設けられていた。その後もダイハツ工業が1980年代初頭のダイハツ・クオーレで、乾式単板クラッチと真空サーボを併用した「イージードライブ」を採用していた。

これらの形式はトルクコンバータ式のオートマチックトランスミッションのギア段数が少なく、動力損失や重量増大も大きかった時代、燃費の低下やエンジン騒音などを嫌気したメーカーによって「軽量で動力ロスのない形式」として開発が進められた。トルコン式フルATは元々は大排気量でエンジンの振動が少なく、高回転までスムーズに吹け上がるV型8気筒が主流で、他の国では高級なエンジン形式である直列6気筒すら最廉価版として位置付けられていたハイパワーなアメリカ車のために開発されたものであり、排気量や最大出力、エンジンの振動を考慮した実用回転数に一定以上の制約が避けられない直列4気筒直列2気筒などが主流にならざるを得ない日本車や欧州車では、最大段数が少なく歯車比が低いアメ車とほぼ同じ構成のトルコン式フルATを搭載したAT車の走行性能や快適性は、同一車種のMT車と比較してどうしても大きく低下する傾向があった為である。

それでも、自動クラッチ車はスムーズに変速するには一度ニュートラルに入れてアクセルを煽ることで回転数を合わせたり、急なシフトレバー操作を控えるなどといった独特のコツが必要とされた為、市場のニーズは変速操作も自動化されたフルATに次第に移行していくようになった。1984年にはいすゞから、自動クラッチ車をベースに変速操作も全自動化したNAVi5を搭載するアスカが発売されたが(後にジェミニにも登場)、速度域に応じてトルコンを機械的に直結するロックアップ機構や、オーバードライブギア(O/D)を採用したトルコン式フルATが普及したことにより、主に高速巡行時の燃費やエンジン騒音の問題が解消されたため、自動クラッチ車はフルAT車に対する優位性を失っていき、日本では1980年代後半にはほぼ廃れた形式となった(但し、いすゞがNAVi5を進化発展させた大型トラック用の「スムーサー」は、現在12段変速まで進化している。)。その後は「全自動変速機能を持たない純然たる2ペダルMT」は、2000年に発売されたトヨタ・MR-SシーケンシャルMTが近年唯一の例であった[5]

一方、欧州ではサキソマットの遠心クラッチを流体継手に置き換えたポルシェ・スポルトマチックや、VW・オートマチック・スティックシフトなどのような形式が1980年代まで製造された後も、ルノーやフィアットなどの廉価な小型大衆車を中心に、トルクコンバータ式フルATに比べて安価に製造できる自動クラッチ車の需要が残り続け、1990年代には乾式単板クラッチを油圧で操作するルノー・イージーシステムなどが登場、1990年代後半からは電磁クラッチとMTを組み合わせた方式がセミATの機構として一般化し、さらにその変速操作をアクチュエーターにより自動化してフルATとなったAMT(ロボタイズドMT、RMTとも)やデュアルクラッチトランスミッション(DCT)が、ヨーロッパを中心に廉価な小型車や大型トラックで普及しつつある[6][7]。AMTは日本ではNAVi5以降はスムーサーツインクラッチSSTなどが、一部の大型トラックやスポーツカーに採用されている程度であったが、2014年にスズキが油圧式ロボタイズドMTであるオートギアシフト(AGS)[注釈 5]を自社の軽自動車に積極的に採用し始め、2016年からは小型のハイブリッドカーへと採用の範囲を広めたことで大衆車にも普及の兆しが見え始めている。

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出典:Wikipedia
2020/01/19 23:32
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