セシウムさん騒動
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1.概要
※年号が付記されていない日付の年号については全て2011年を表す。

2011年8月4日(木曜日)放送「別冊!ぴーかんテレビ」内の「しあわせ通販」のコーナーで、秋田県稲庭うどんテレビショッピングを放送している途中、画面がコーナーとは無関係の「岩手県産のおひとめぼれ3名プレゼント」の当選者発表画面に切り替わり、その当選者の名前に「怪しいお米 セシウムさん、怪しいお米 セシウムさん、汚染されたお米 セシウムさん」(本来「怪しいお米」「汚染されたお米」の部分には当選者の住所(市町村名)、「セシウムさん」には当選者氏名を入れる)を掲げるという不適切な内容の映像(電子フリップ)が23秒間(11:03:35 - 11:03:58、JST)にわたって表示される放送事故が発生した[1][2](画面のみが切り替わり、音声・ナレーションはうどんの紹介のままだった)。

この事態を受けて番組MCをしていた福島智之アナウンサーは、「しあわせ通販」コーナー終了直後に「たった今、違う映像が出てしまいました。考えられないような不謹慎な内容でした。本当にすみませんでした」と謝罪した[3]。さらにその後、番組エンディングでも福島アナウンサーは、不適切表現の映像が誤送出された件について謝罪した。本来の岩手県産ひとめぼれ10kg当選者3人は、福島アナが手書きのフリップを持って発表した[4]

不祥事の一因として、東海テレビは「テロップ制作担当者が、“夏休みプレゼント主義る祭り”の岩手県産ひとめぼれ10kg当選者が決定される前に作成したリハーサル用のダミーのテロップが、操作ミスで送出されたため」と表明した[2]。また不祥事のお詫びについては、東海テレビの公式サイトでも、トップページを差し替えた上で謝罪文が掲載されることになった(2011年9月末まで)。

これを受け、当の岩手県はこの件について「東日本大震災津波からの復興に全力をあげて取り組んでいる本県を誹謗中傷したもの」とし、岩手県の達増拓也知事から東海テレビ宛てに抗議文を発出したと岩手県の広報サイトにて発表した[5]

岩手県の広報サイトでは、現在(2011年8月時点)流通している米は原発事故発生前の2010年秋に収穫されたものであり、岩手県の場合、低温倉庫、準低温倉庫に適切に保管されているものが流通しており、安全な米であるとしており、「岩手県のお米を始め、全国のお米は安全です」と強調している[5]。東海テレビには4日午後6時半までに約300件の苦情電話があり、その後も電話は増え、数え切れないほどになった[6]インターネット上では「リハーサル用だったとしてもテレビ局として悪ふざけが過ぎているのではないか」といった声が上がり、掲示板などで炎上状態になった[3]

東海テレビ視聴者センターに寄せられた「セシウムさん字幕騒動」関連の抗議電話やメールは6日夜までに1万件を突破。大半は岩手県など東北地方在住者からで、関係者の厳正な処分を求める内容がほとんどであった[7]

東海テレビでは今回の問題を受けて、急遽8月5日に放送する予定だった同番組を中止し、9:55から3分間、この問題について番組MCの福島アナウンサーが謝罪。9:58 - 11:30には『トムとジェリー テイルズ』が穴埋め放送された[8][9]

また、5日の朝には、コンプライアンス担当の常務取締役と営業局次長の2人(いずれも当時)が岩手県庁などを訪れ、「風評被害を食い止めるべき立場の我々が(被災者や生産農家を愚弄するかのような)軽率な放送をしてしまい誠に申し訳なく思っています」と謝罪。その後農協(JA岩手県中央会)も訪れ生産農家に対しておわびを述べたという[10]。県庁で対応した東大野潤一農林水産部長も抗議した[11]盛岡市内で会談したJA岩手県中央会の田沼征彦会長も「悪ふざけにも程がある。我々にとっては事故ではなく事件だ」と厳しく批判し、抗議文を手渡した[12]

また同日夕方には『東海テレビスーパーニュース』の放送枠を短縮し、18:36:32から18:51:27までの14分55秒間、今回の「セシウムさん字幕問題」の経緯を説明する特番を放送。冒頭で浅野碩也社長(当時)が謝罪し、その後は高井一アナと福島アナが今回の問題の経緯を説明した[13]

ただし、事故発生の翌日に放送された上記の謝罪特番は愛知・岐阜・三重のみで放送され、岩手県のFNS系列局である岩手めんこいテレビへはネットされなかった。このため東海テレビは公式サイト内で5日に放送された特番の概要と、幹部が岩手県庁などを訪れ関係者に謝罪した旨を報告した[14]

放送中止となった8月5日以降、本番組は当面の間放送を休止することを発表[15]、本番組の放送枠ではテレビアニメ番組やテレビドラマ番組で穴埋め放送された。

電話による抗議は8日夜までに約1900件を超え、メールによる抗議も8日夜までに1万5千件を超えた。さらに(今回の不祥事に抗議する意思を示し、かつ企業イメージ悪化を防ぐため)番組スポンサー降板が相次いだ(下述参照)。

その後、浅野社長を本部長とする「セシウムさん字幕騒動問題」対策本部を設置し[16]、不適切内容のリハーサル用テロップが番組本番で誤送出された原因を調査し検証する番組を後日放送[12]。この「セシウムさん字幕騒動」検証番組を、岩手めんこいテレビでも放送する予定とした[17]。そして原因が明らかになり次第、この「セシウムさん字幕」問題に関与した社員及び外部スタッフを懲戒処分する旨を公式発表した。

8月5日には日本民間放送連盟(以下、民放連)の広瀬道貞会長(テレビ朝日顧問)が、「原発事故によって多くの方々が被害にあっておられるなか、放射能の風評被害について、放送事業者はもっとも敏感であるべき」などとするコメントを発表、その後、広瀬会長は「問題のテロップはあまりにも常識を欠いた表現」と指摘し、「本件では(1)こうした内容のテロップを作成するという社会意識の欠如に問題の根源がある上に(2)それをチェックできなかったこと(3)操作ミスで画面に出したものを即座に取り消せなかったことにも重要な問題がある」と述べ、また、民放連の会員各社に対して、倫理観の再確認や防止策への注力を求めたことを明らかにした[18]

愛知県大村秀章知事は8月8日朝、県庁に浅野社長を呼び、「大変遺憾」と伝えた上で再発防止の徹底などを求め、大村知事は8日の定例会見で、面会内容について「特に岩手県関係者の皆さんには経過を十分に説明し、検証した上でしっかり説明していくことが必要と申し上げた」と説明し、浅野社長からは「対策本部を設置し、私=社長が自ら陣頭指揮をして謝罪と事故の検証を進めている」との説明があったという[19]

達増知事は8日の定例記者会見で、今回の「セシウムさん事件」について「人の心の闇の奥深さを見せつけられた感がある。当事者には猛省を促したい」と批判。関東大震災を例に「大震災や非常事態発生時にはとんでもないデマが飛び交う」と指摘した上で、「マスメディアはデマを沈静化し、(誤った情報による国民の混乱を)防ぐ使命があるはずだ」と述べた[20]

10日、浅野社長が岩手県庁を訪れ、達増知事に謝罪。放送までの経緯と、その後の対応を説明した。それを受けて達増知事は「正しい情報を伝えるマスメディアが根拠のない情報で風評被害を起こすのはあってはならないこと。猛省を求めます」と述べて、再発防止を要請した。浅野社長は本番組の存続については「検討中です。休止の期間が長くなると迷惑をかける。できるだけ早く結論を出したい」と話した。また、自身の進退に関しては「今の時点ではない」とした上で「(退任も)含めて検討していますが、責任を持って再発防止に努力する」と述べた。番組関係者に関しては「重く受け止めており、きちっとした処分を出す」とした。なお、有識者の監修で制作する検証番組を岩手県(岩手めんこいテレビ)でも放送する予定とした[21]。さらに浅野社長はJA岩手中央会も訪れ関係者に改めて謝罪。JA岩手中央会の朝倉栄常務は「農家への思いを踏みにじったことへの謝罪を検証番組内でしっかり行ってほしい」と述べた。

浅野は11日の記者会見にて、問題のテロップが流れた4日は、長野県ゴルフに出かけていて、問題発生後約2時間に渡って連絡が取れない状態だった、と言うことを明らかにした[22]

本番組では、この不祥事の前より、テロップミスや操作ミスなどが多いと指摘されており、特に報道番組色を強めてからは、ミスがそれまでよりも目立つようになった、と言われていた(「『ぴーかんテレビ』検証報告書」より)。

8月30日、東海テレビは「『ぴーかんテレビ』検証報告書」を作成し、ホームページ上にて公表した。この報告書は、検証委員会が作成。検証委員会の任務は不適切放送の原因究明と再発防止策のとりまとめ、検証番組の制作と検証報告書の作成としている。また、同局は上智大学文学部の音好宏教授を特別委員として招いた[23]

8月31日、東海テレビは再発防止策を立案し、実施状況を確認する「再生委員会」を設置した。再生委設置に伴い、検証委員会は同日付で解散した。委員長には検証委で特別委員を務めた音教授が就任。祖父江伸二常務が副委員長を務めるほか、同社の局長、部長計8人が委員となった[24][25]

9月7日、民放連の幹事会において、東海テレビに対して「文書による厳重注意」という方針が示された。なお、同社は「正式決定は15日と聞いておりますが、(中略)視聴者の皆様、被災地の皆様、とりわけ岩手県の皆様からの信頼回復に向けて、全社を挙げて取り組んでまいります」とホームページ上で発表した[26]

9月15日、民放連から正式に「文書による厳重注意」という方針が示された(前述参照)[27][28]

また、民放連制定の番組コンクール「日本民間放送連盟賞」「日本放送文化大賞」について、同社は両賞とも辞退したと発表した[29]。その他にも、「審査員の皆様から頂いた評価をしっかりと胸に刻み、再生への誓いとし、引き続き良質な番組作りをしてまいります」と発表した[29]

9月22日、毎年秋に社会、文化、学術、産業などの各分野で功績のあった東海地方にゆかりのある個人や団体を顕彰する「東海テレビ文化賞」を取りやめることを発表するとともに10月29日、30日に予定していた「わんだほ祭2011」についても中止したと発表した[30]

11月15日には浅野社長に対して答申書を提出した[31]

不祥事から1年経過した2012年8月4日には、ホームページ上での「再生の取り組みのご報告」内にて、は2012年6月9日まで検証委員会が15回も開かれたことが報告され、問題を風化させない目的で、毎年8月4日を「放送倫理を考える日」に定めることにした[32]

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出典:Wikipedia
2018/07/25 14:02
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