エドワード・スノーデン
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2.情報収集の告発
2.2.スノーデンによる暴露
2012年12月1日、スノーデンはキンキナトゥスを名乗り、アメリカのジャーナリスト・グレン・グリーンウォルド電子メールを送った。グリーンウォルドはNSA批判で名が知られる人物だった。盗聴を恐れるスノーデンは、グリーンウォルドが電子メールにGnuPGインストールして使うなら情報提供すると持ちかけた。しかしグリーンウォルドは多忙を理由にGnuPGをインストールしなかったため、今度はVerax(ラテン語で「真実を述べる者」)と名乗り、ドキュメンタリー作家のローラ・ポイトラスに電子メールを送った。ポイトラスはグリーンウォルドにこの情報を伝え、グリーンウォルドはPGPその他のセキュリティソフトをインストールした上でスノーデンとの折衝を始めた(なお、この時点のグリーンウォルドは「キンキナトゥス」と「Verax」が同一人物であることに気づいていなかった)[49]

2013年5月、スノーデンはハワイのオフィスで、告発の根拠となった文書(スノーデン自身のインタビューに先立って各紙で報道されたもの)を複写した後、病気の治療のために3週間の休暇が必要だと上司に伝えたうえで、同月20日香港へ渡航した。九龍尖沙咀ホテルにチェックインしたスノーデンは[7][50]、『ガーディアン』のインタビュー(グリーンウォルド、ポイトラス[51]、ユーウェン・マカスキル)を受け、アメリカ合衆国や全世界に対するNSAの『PRISM』による盗聴の実態と手口を内部告発した[52][53]。スノーデンは持ち出した機密資料のコピーを分割して民間の報道機関に提供し、自身の身に危害が及んだ場合は自動的に取得している全情報が流出すると述べた。スノーデンが香港で暴露した機密情報は、NSAの情報収集に関するものであったが、提供された機密資料によって、下記のような多国間に渡る[54]シギントによる情報収集活動が明らかとなった。

アメリカ合衆国を含む全世界でのインターネット傍受[編集]


スノーデンは、英紙ガーディアンにNSAの極秘ツールであるバウンドレス・インフォーマントの画面を示し、クラッパー国家情報長官が議会公聴会で否定した3月に合衆国内で30億件/月、全世界で970億件/月のインターネットと電話回線の傍受が行なわれていたことを明らかにした[55]。電話傍受にはベライゾン・ワイヤレスなどの大手通信事業者が協力しており、NSAは加入者の通話情報を収集していた[56]。標的になった情報は通話者の氏名・住所・通話内容の録音のみならず、メタデータも収集しており、通話者双方の電話番号、端末の個体番号、通話に利用されたカード番号・通話時刻・所要時間、および基地局情報から割り出した通話者の位置情報も収集していた。またインターネット傍受はクラッキングではなく、アプリケーションプログラミングインタフェースのような形のバックドアによるもので、コードネームPRISM(プリズム)」と名付けられた検閲システム[57]によって行なわれていた。標的になった情報は電子メールチャット電話ビデオ写真、ファイル転送、ビデオ会議、登録情報などだった。

IT企業の協力[編集]


通信傍受にはマイクロソフトYahoo!GoogleFacebook、PalTalk、YouTubeSkypeAOLアップルなどが協力させられていたことは以前から指摘されていたが、スノーデンの持ち出した資料によってその一部が明らかとなった[58]。マイクロソフトは、NSAが通信傍受しやすいようにMicrosoftチャットの通信暗号化を回避(バックドア)した[59]。またストレージサービス「スカイドライブ」へのNSAの侵入を容易にするように配慮を行った。SkypeもNSAが容易に情報を取得できるように特別チームを編成して、その技術的問題を解決した[60]。Facebookには2012年後半の6ヶ月間で、NSAから18000-19000個のユーザーアカウントについて情報提供依頼があったと報告した[61]

NSAの海外に対するクラッキング[編集]


スノーデンによると、NSAは世界中で6万1000件以上のハッキングを行っており、そのうち数百回以上が中国大陸と香港の政治、ビジネス、学術界を目標として行われ[62]香港中文大学もターゲットの一つだったという[63]中国へのハッキングは2009年以降に活発化したとした[62]。NSAはドイツなど外国の情報機関と共謀して情報収集することもあり[64]、外国との共同作戦のための専門の委員会がNSAに設置されている。ドイツにはNSAによって盗聴や通信傍受の手技が伝授され[64]、またプライバシー侵害を非難されないようにするための情報交換も行われていた[64]。ドイツはそれらの活動により中東諸国の情報を得ていたとされた[64]

同盟国に対する情報収集[編集]


ガーディアンは、スノーデンが持ち出した極秘文書により、NSAが38カ国の大使館に対しても盗聴を行っていたことをスクープした[65]。対象となっている大使館は、日本やフランスイタリアギリシャメキシコインド韓国トルコなどの同盟国も含められていた[65]ワシントン欧州連合(EU)代表部への情報収集工作のケースでは、暗号機能付きのファクス内に盗聴機と特殊なアンテナが仕組まれ[66]、約90人の職員のパソコン内のデータ全てをのぞき見る手法で実施されていた[65]。フランスのオランド大統領は「同盟国に対するこのような行為は容認できない」とし、ドイツ政府報道官は「全く容認できない」とする苦言を呈した[65]。これらの報道に対してオバマ大統領は、一般論として「諜報機関を持つ国ならどの国でもやっていることだ」として、同盟国の大使館に対する諜報活動への理解を求めた[67]。また「日本が同盟国でなくなった場合は電力システムを停止させられるマルウェアを横田基地駐在時に仕込んだ」という内容が、オリバー・ストーン監督の映画『スノーデン』の中で語られている。

英国による情報収集[編集]


イギリス政府通信本部(GCHQ)はネット上の通信記録を『総取り』して無作為に抽出し、電話番号や住所、IPアドレス、フェイスブックIDなどから個人を特定し、関心のある情報を選別するという方法で情報収集していることが報じられた[64]。またGCHQはG20会合(2009年4月の首脳会合と9月の財務相・中央銀行総裁会議)において[68]以下のような情報収集を行っていたことが判明したという[68]。G20を有利に運ぶために、当時のブラウン政権高官の承認の元で実施されたとした[68]

代表団のスマートフォンに侵入して電子メールや通信履歴を入手[68]
通信傍受のために、偽のインターネットカフェの設置[68]
GCHQが光ケーブル網の通信を傍受し、NSAと情報を共有している(テンポラ)[69]
その他、NSAがG20でロシアのメドベージェフ大統領(当時)の衛星通話の盗聴を試み、その内容をGCHQに報告していた[68][70]

2014年5月13日、スノーデンが持ち出した未公開の機密文書を収めた書籍が、世界24か国で同時刊行された[71]

[4]前ページ
(2.1.背景)
[6]次ページ
(3.スノーデンの主張)
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出典:Wikipedia
2018/08/04 05:30
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