アニメーター
▼人気記事ランキング
3.日本における労働環境
国内のアニメーターの多くは、有名クリエーターを夢見て目指す者が多い。原画として成功したときの見返りは多く、高い実力の持ち主が独立した場合などは、多くの収入を得ることもできるが、独立まで行ける者はほんの一握りであり、ほとんどのアニメーターが一般的なサラリーマンの平均的な収入よりもはるかに低く、また基礎から育てられずに動画から原画に促成的に移行させられることに因る力量不足などで挫折し、業界を離れて行くケースも多いと言われている。基本的に「アニメーターで生活できていない」と報道されているのは「原画へ出世できていない動画マン」の方だ[5][6]

1980年代には低収入という認識が芸術系学生の間で広まっており、当時アニメーターを目指し日本大学芸術学部へ進学した青山剛昌は、入会した漫画研究会の先輩である矢野博之漫画家の方が儲かると言われ進路を変更したという[7]

現在の日本のアニメーターのほとんどが契約社員かフリーランス(個人事業主)であり、正規雇用正社員)での雇用がほとんどないため、健康保険厚生年金などの福利厚生が受けられない。

固定給制である制作会社スタジオジブリ京都アニメーションなどごく少数しかない。また、実力を認められたアニメーターが会社側から拘束をうけ、単価とは別の固定給をもらうという場合も存在する。新人アニメーターの担当する作業は低単価の動画であるが、原画から育成する方針のスタジオも存在する[1]

動画1枚・原画1カットの単価×出来高制の業務委託請負形式であるが、Blu-ray DiscDVD・その他キャラクターグッズがたくさん売れたからといって、それらの売上がアニメーターに一切還元されず、請負金額にも反映されない。

作画監督は1話の制作期間(2カ月程度)拘束されるため、作品の掛け持ちや、あるいは制作会社が拘束料を支払い専属の契約社員となる場合もある。

新人アニメーターの多くは契約社員であり、動画担当は劣悪な労働環境と低収入から1年間で90%が辞めていく状態である。平均労働時間は1日約18時間、週2回は徹夜で月収約2〜3万円しかない(新人)。中堅クラスのアニメーターや動画マンでも月収は約7万5000円〜10万円[8]程度しかなく、良くても約15万円といわれ、実家からの仕送りや副業により収入を得ていることも多い。

収入が少ない理由として、1枚の動画の単価が約150円〜高くても200円程度しかなく、採用されなければ一切の収入が入らない。また原画や動画の単価は昔からほとんど変化もしていないこともあり、アニメーターの約25%は年収100万円以下であるといわれる(日本芸能実演家団体協議会の2008年における調査)。

また1980年代ごろまでは月あたり1000枚ほど生産していた動画アニメーターが存在していたのに対し、現在は制作体制が変化し、パソコンにスキャンして彩色する関係上、作画の線を綺麗に描かなければならないこと、視聴者から求められている作画のレベルが上がっていることから、1人で多くの枚数を生産しにくい状況となっており、月に500枚描ければ動画マンは一人前とも言われる。動画マンとしての仕事を覚えて現場でアニメーターとしての実力を認められると原画の仕事に移行する[9]。原画の場合は1枚ではなく、1カットの単価が約3,000円〜5,000円となり、責任者である作画監督になると、1話あたりの単価が30〜40万円ほどになるといわれている。

また、広告代理店や製作局などの「製作委員会」が制作費の多くを中抜き(搾取ピンハネ)しており、制作会社に与えられる制作費が少ないため、これも動画マンのアニメーターに十分な収入がない理由のひとつともいわれている。 アニメ監督山崎理は「アニメ制作の予算配分はおかしく、音響監督脚本家、撮影はもらいすぎではないか」と疑問を呈している[10]

劣悪な労働条件を改善するため、2007年平成19年)10月13日に、スタジオライブ社長の芦田豊雄の呼びかけで、日本アニメーター・演出協会(JAniCA)が設立された[11]

2008年株式会社ボンズ名義でアニメーターの個人情報が流出する事件が起こり、アニメーターの格付けが行われている実態が明らかとなった。その格付けによると「こいつはクビ」「戦犯」「会社の癌」などとアニメーターの人権を否定するよう格付けしていた(ボンズ側は一切関係ないと否定)。

その一方で、中国AGC企業が日本で会社を設立し、良い人材を集めるため、日本の制作会社より高い待遇を提示する例も見られるようになっている[12]

2016年10月頃より株式会社ピーエーワークス(P.A.WORKS)所属のアニメーターが自身のTwitterにおいて、支払明細書を掲げた上で同社の雇用条件や賃金に対して、批判的なツイートを連発。当のアニメーターが公開した給与のうち、もっとも高額だったのは2016年10月支払分の手取り額で67,569円だった[13]。それらが注目されて、ネット上の各所に情報が拡散される事態となった。

1990年代後半からアニメ制作にコンピュータを使うことが一般化(デジタルアニメ)し、2000年代以降は静止画の自動生成技術により省力化が進められているが、完全にデジタル化できても一定数の人手が必要なため、現在でもアニメーション業界は労働集約型産業とされる[14]

DeNAでは中割りの自動生成技術の開発を行っている[15]

[4]前ページ
(2.海外における労働環境)
[6]次ページ
(4.教育)
~目次に戻る
出典:Wikipedia
2019/08/30 20:30
ソ人気記事ランキング
2019/09/16 更新
 1位日本
 2位熊谷連続殺人事件
 3位池田大作
 4位9月15日
 5位凪沢怜奈
▲上に戻る
[9]Wikipediaトップ
[0]gooトップ
免責事項
(C)NTT Resonant