ユーロ
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5.ユーロとペッグしている国
5.1.ユーロ導入が義務付けられている欧州連合加盟国
ユーロを通貨として導入していないすべての欧州連合加盟国は欧州連合条約により、収斂基準を満たして単一通貨を導入することが義務付けられている。ユーロ導入にあたって求められる収斂基準の4つの要素の1つとして、2年間は現行通貨を欧州為替相場メカニズムに組み込まなければならない。ただしイギリスデンマークについては適用除外規定が定められており、現行通貨を維持するということが認められている。

欧州為替相場メカニズム適用国(ERM)[編集]


1979年、欧州為替相場メカニズムの核となる欧州通貨制度が創設された。本来はすべての加盟国が欧州為替相場メカニズムに組み込まれなければならないが、実際にはベルギー、デンマーク、西ドイツ、フランス、アイルランドイタリアルクセンブルクオランダのみに適用された。1999年のユーロの創設により1974年より運営されていた従来の欧州為替相場メカニズムは廃止されたが、ユーロに移行していない欧州連合加盟国を対象とした新たな欧州為替相場メカニズムが1999年に設定された。これがERM IIと呼ばれるものである。欧州為替相場メカニズムのおもな目的は物価の安定を確保するために為替相場とその変動を調整することであり、また欧州為替相場メカニズムはユーロ圏入りの前段階における必要条件となっている。現在必要条件としてユーロに移行していない欧州連合加盟国に求められているのはERM IIへの参加であり、ERM IIはERMとしては2つ目のものである。この必要条件とは、具体的には、2年間、ERM IIのもとで、ユーロに対する自国通貨の標準変動幅を2年間、±15%の範囲とするというものである。ただし、問題がある場合は延長される。

2015年以降、1つの欧州連合加盟国が自国の通貨を欧州為替相場メカニズムに組み込ませている。欧州為替相場メカニズムではユーロとそれぞれの現行通貨との相場変動幅を基準値(セントラル・レート)の±15%としている。またデンマークは欧州連合との取り決めにより、ほかの通貨よりも変動幅が狭い、±2.25%としている。

欧州為替相場メカニズムが適用されている国は状況が整えば、ほかの国と比べて早い段階でユーロを導入することができる。しかし、2007年以降の金融危機により急激に財政状況が悪化し、ユーロの導入は困難なものとなった。

当初リトアニアは2007年にユーロを導入するはずであった(導入は2015年となった)。2006年3月16日、リトアニア財務相ジグマンタス・バルチーティスは欧州委員会から時期尚早と正式に警告を受けていたにもかかわらず、ユーロ導入に関する必要書類を提出した。この書類などをもとにして審査した結果、欧州委員会はリトアニアのインフレーション率が基準よりも 0.06% 高いとしてリトアニアのユーロ導入を延期するよう欧州理事会に勧告し[7]、2006年6月15-16日にブリュッセルで行なわれた欧州理事会の会合でもリトアニアのユーロ導入は見送られた。当時のリトアニアのインフレーション率は既存のユーロ圏諸国と比べてもユーロを導入するには十分に低かった。しかし欧州連合条約ではユーロ未導入の加盟国に対して基準を厳格に守るように定めている。一部の欧州連合の高官からはリトアニアがユーロを導入しても問題がないという意見があったが[8]、欧州委員会と欧州中央銀行はユーロの信頼性を損なわないためにもこの意見を認めなかった。2007年にユーロを導入していれば、リトアニアはスロベニアとともに中東欧諸国で最初のユーロ移行国となっていたことになる。

2010年5月12日、欧州委員会はエストニアが収斂基準を満たしたとする報告書を作成し、同国のユーロ移行を提案した[9]。これを受けて同年7月13日に経済・財務理事会は、2011年1月1日にエストニアがユーロを導入することを認める決定を下した。また2014年にはラトビアもユーロを導入した。

欧州為替相場メカニズム未適用の欧州連合加盟国[編集]


デンマークとイギリスを除くすべての欧州連合加盟国はユーロの導入が義務付けられているが、いまだ6か国が欧州為替相場メカニズムの適用を受けていない。このため6か国は少なくとも収斂基準の1つを満たしていないということになる。

ブルガリアは急激なインフレーションが進み、欧州為替相場メカニズムの適用が拒否されたことがある。現行通貨のレフは1999年にドイツマルクと 1:1 で固定しており、そのため1ユーロとも1.95583レフで固定されている[10]。2009年8月、政権交代によって就任したばかりの財務相シメオン・ジャンコフはブルガリアのユーロ導入について、2013年ごろになるという考え方を示していた[11]。2018年にはインフレが低水準であること、財政が健全であることからいくつかの条件を満たしているが汚職、一部の銀行にある問題が課題となっている。ERM2の加盟には早くとも2020年頃であるとされている[12]
ポーランドでは政界や社会におけるユーロ導入への支持が低く、欧州為替相場メカニズムに参加する見込みが少なかった。ところが2007年に政権が交代するとユーロ導入に前向きとなり、首相に就任したドナルド・トゥスク所信表明で可及的速やかにユーロを導入すると述べた[13]。またクリニツァで開かれた経済フォーラムでトゥスクは2011年をユーロ導入の目標時期とした[14]。ところが2009年8月に財務次官ルドヴィク・コテツキは、ポーランドのユーロ導入は2014年まではないということを明らかにした。その理由として、2009年のポーランドの経済成長率見込みは 0.5% となるものの、2008年の金融危機がポーランドにも大きな影響を及ぼしたとしている[15]。2016年1月現在、ユーロ導入の日程については未定である。
ルーマニアは2007年に欧州連合に加盟して以来、ユーロ導入を検討してきた。ブルガリアと同様に、ルーマニアも高いインフレーション率がユーロ導入の障害となっている。ルーマニア国立銀行はユーロ導入の目標時期を2012年から2014年としていた[16]。2016年1月現在、ルーマニアは2019年をユーロ導入目標に定めている。
スウェーデンは2003年9月14日に実施された国民投票でユーロ導入が反対されている。スウェーデンは欧州連合に加盟する際の条約において収斂基準の達成が義務付けられているが、欧州為替相場メカニズムへの不参加によってユーロ導入が不可能となっている[17]2013年までは再度の国民投票が実施されないことになっているが、中道右派による連立政権内では再度の国民投票を早期に実施するという意見が高まっている[18]。さらに2008年秋の金融危機を受けてユーロ導入の議論は高まっており、スウェーデン政府は2013年という期日は守るとしているものの、財務相アンデルス・ボルグはユーロ導入について支持を表明している[19]。また有権者のあいだでもユーロ導入への支持が高まっている。2009年4月に実施された世論調査では、わずかながらも初めてユーロ導入に賛成する意見が反対を上回った[20]
チェコは当初、2010年のユーロ導入を目指していた。しかしチェコでは社会基盤の整備のための出費よりも財政赤字のほうが大きいという見込みとなったことでこの導入目標は断念することとなり、政府は2012年か2013年の導入を目指すこととなった[21]。その後さらに、ユーロ導入の期日が遅れるということへの経済的影響から、チェコ国立銀行総裁のズデニェク・トゥーマはインタビューで、2019年のユーロ導入が適切であると発言した[22][23]。ところがコルネの対ユーロ相場の変動幅が大きく、また近隣4か国が2012年までにユーロを導入する見込みが大きいため、チェコもまたこれらの国やポーランドと同時期の2012年1月1日にユーロを導入すると見られていた。チェコでは2009年中にユーロ導入までのロードマップを作成し、チェコ政府も2009年11月1日を導入の方針を定める期限としている[24]。2016年1月現在、ユーロ導入の期日は未定である。
ハンガリーは2010年にユーロに移行したいとしていた。ところが慢性的な財政不足からこの目標は断念された。ハンガリーでは対国内総生産比で毎年 10% の赤字となっており、すべての欧州連合加盟国の中でももっとも高い数値となっている。このためハンガリーのユーロ導入は2013年から2016年ごろと見込まれていた[25]。2016年1月現在、ユーロ導入時期については未定である。
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出典:Wikipedia
2019/09/28 21:30
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