マダガスカル
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4.歴史
4.1.定住の始まり
マダガスカルに人類がいつ頃から定住し始めたかという問題については不明な点が多い[53]。マダガスカル島は地球上にある主要な陸塊の中で、人類が最後に定住するようになった場所である可能性がある[54]。最も古い住居跡はアンツィラナナ近くの洞窟にあり、ここで採取された炭は放射性炭素年代測定により西暦420年頃のものと判明した[55]。しかし、ここに住んだ人々が定住するに至ったかまでは明らかではなく、人骨の出土はなく、出土遺物からも漂流者の一時的避難場所であったことが示唆される[53]。長期にわたって利用された住居跡として最も古いものはヌシマンガベ島にあり、8-9世紀頃の地層から土器片や陶器片、焼畑の痕跡が見つかっている[53]。ここで人々が生活していた証跡は18世紀初期まで連綿と続く[53]。住居跡でない、もっと曖昧な証拠であれば、紀元前89年から紀元後70年までのものと推定される、金属器の切り付け痕の残るコビトカバ[56]の大腿骨がマダガスカル島南西部から見つかっている[53]。2011年にも、紀元前2000年頃のものと見られる、人為的な切り付け痕のある動物の骨が発見された[53][57][58]
比較言語学の知見に基づくと、マダガスカル語ボルネオ島南部のバリト川流域で話されているマアニャン語などが含まれるオーストロネシア語族ヘスペロネシア語派南バリト諸語に系統的に最も近い[59]。マダガスカル語がマアニャン語などと分岐した時期は、今から1200年から1300年程前と考えられている[59]
20世紀終盤から遺伝学は人類集団の移動の軌跡を調べる上で強力なツールとなっており、マダガスカル人の歴史的形成を研究する分野においても有用な研究方法の一つとなっている[60]。任意の属性を有する人間集団におけるY染色体ハプログループの分布を、他の人間集団の分布と比較するという手法を用いた研究によると、アジア由来のマダガスカル人のY染色体ハプログループの分布は、他のどの地域の人間集団の分布よりも、マアニャン語話者の多いバンジャルマシン住人の分布に近いことがわかった[61]。この結論は言語学的知見に基づく推定と一致する[60][61]
ボルネオ島南部からマダガスカルへの移住の態様についも不明な点が多く、諸説あるが、移住民がアウトリガー・カヌーに乗ってやってきたであろうことは確実である[62]。このようにインドネシア系の人々を先祖としてマダガスカル人の基層が形成されたが、そこにアラブ系の人々が加わった、若しくは少なくとも文化的な寄与をしたことは、全島的に見られる男子割礼、豚肉の禁忌、先祖がメッカからやってきたという伝承を受け継ぐ民族集団の存在などを証拠に確実視される[62]。アラブ人たちがマダガスカル島に始めてやってきたのは7世紀から9世紀の間、交易を目的として渡来した[63]。バンツー語族の言葉を話す人々の移民の波がアフリカ大陸の南東部からやってきたのは、西暦1000年ごろである(cf.Bantu expansion)。彼らは角を持ちコブのあるタイプの牛であるゼブを島に導入し、大規模な群れで飼いはじめた[37]
中央高地のベツィレウ王国群では、17世紀までに水田の灌漑が発達し、17世紀には隣接するメリナ王国にも水田の灌漑が広まった。メリナ王国では棚田も作られるようになった[42]。中央高地の森林生態系は、土地の耕作意欲の高まりと、コブウシの牧草地需要の恒常的な増加により、17世紀までには草原へと、大きくその姿を変容させた[37]。メリナ人たちは牛牧にイネの灌漑施肥農耕を組み合わせた農法により新田開発により社会を富ませることによって勢力を拡大していった[64]。メリナ族は、彼らの間で口承で伝えられた歴史叙述によると、今からおよそ600年前から1000年前までの間に中央高地にやってきたことがうかがわれ、また、そのときに「ヴァジンバ」と呼ばれる人々に出会ったと伝わる。彼らは、アンヂアマネル、ラランブ、アンヂアンザカといった16世紀から17世紀にかけての歴代のメリナ王により、同化させられるか、中央高地から排斥されて、歴史の表舞台から姿を消した[65]。「ヴァジンバ」は子孫が絶えてしまったのでマダガスカル人が非常に重視するところの「祖先になる」ことができず、その死霊がいつまでも彷徨っているとして畏れられている[66]:49。「ヴァジンバ」が単なる伝説か史実かは議論があるところである。史実と見る学者は、彼らがメリナ人に先行するオーストロネシアン移民の子孫で、技術的にはメリナ人に劣っていた人々ではないかと考えている[67]
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(4.2.沿岸部の歴史的展開)

37. Gade, Daniel W. (1996). “Deforestation and its effects in Highland Madagascar”. Mountain Research and Development 16 (2): 101?116. doi:10.2307/3674005. JSTOR 3674005. 
42. Campbell, Gwyn (1993). “The Structure of Trade in Madagascar, 1750?1810”. The International Journal of African Historical Studies 26 (1): 111. doi:10.2307/219188. 
53. 『マダガスカルを知るための62章』80-83頁
54. Crowley, B.E. (2010). “A refined chronology of prehistoric Madagascar and the demise of the megafauna”. Quaternary Science Reviews 29 (19?20): 2591?2603. Bibcode 2010QSRv...29.2591C. doi:10.1016/j.quascirev.2010.06.030. 
55. Dewar, Robert E.; Wright, Henry T. (1993). “The Culture History of Madagascar”. Journal of World Prehistory 7 (4). https://deepblue.lib.umich.edu/bitstream/handle/2027.42/45256/10963_2004_Article_BF00997802.pdf 2016年9月17日閲覧。. 
56. 蹄を持つ動物の中で唯一のマダガスカル在来種であったが、ヨーロッパ人到来以前に絶滅した。
57. Gommery, D.; Ramanivosoa, B.; Faure, M.; Gu?rin, C.; Kerloc'h, P.; S?n?gas, F.; Randrianantenaina, H. (2011). “Oldest evidence of human activities in Madagascar on subfossil hippopotamus bones from Anjohibe (Mahajanga Province)”. Comptes Rendus Palevol 10 (4): 271?278. doi:10.1016/j.crpv.2011.01.006. 
58. Dewar, R. E.; Radimilahy, C.; Wright, H. T.; Jacobs, Z.; Kelly, G. O.; Berna, F. (2013). “Stone tools and foraging in northern Madagascar challenge Holocene extinction models”. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 110 (31): 12583?12588. doi:10.1073/pnas.1306100110. 
59. 『マダガスカルを知るための62章』84-89頁
60. 小山直樹『マダガスカル島(南インド洋地域研究入門)』(東海大学出版会、2009年)190-200ページ
61. Hurles, M; Sykes, B; Jobling, M; Forster, P (2005). “The Dual Origin of the Malagasy in Island Southeast Asia and East Africa: Evidence from Maternal and Paternal Lineages”. The American Journal of Human Genetics 76 (5): 894?901. doi:10.1086/430051. PMC 1199379. PMID 15793703. http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0002-9297(07)60736-8. 
62. 『アフリカ史』(山川出版会、2009年)深澤秀夫「第三章マダガスカルとインド洋西域島嶼世界」
63. Wink (2004), p. 185
64. 川田順造『地域からの世界史9アフリカ』161-164ページ
65. Domenichini, J.P.. “Antehiroka et Royaut? Vazimba” (fr). Express de Madagascar. Madatana.com. 2011年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年11月5日閲覧。
66. 山口(1991)『マダガスカル アフリカに一番近いアジアの国』
67. Razafimahazo, S. (2011年). “Vazimba: Mythe ou Realit??” (fr). Revue de l'Oc?an Indien. Madatana.com. 2011年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年11月8日閲覧。

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出典:Wikipedia
2017/08/07 13:30
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