はやぶさ (探査機)
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6.はやぶさの軌跡
6.5.カプセルの輸送と分析
発見されたカプセルは、ウーメラ施設内のクリーンルームで爆発の危険性がある装置と電子回路を取り除いた後[150][86]、窒素を満たしたポリエチレンの袋に入れた上で内箱に収納。さらに衝撃吸収用のボールを並べた免震箱に入れて熱シールドと共にチャーター機で日本に輸送され[162][86]、17日深夜に羽田空港に到着した[162][86]。18日2時にトラックでJAXA相模原キャンパスのキュレーションセンターに搬送された[157][86][164][166]。 カプセルはX線断層撮影 (CT) 検査を行うため一旦JAXA調布キャンパス飛行場分室に移送され、検査の結果容器に亀裂などがないことが確認された[167][90]。 昼夜連続でカプセルの清掃が行われ、20日にはサンプルコンテナがクリーンチェンバーに導入された[90]。22日にサンプルコンテナが開封され、内部から微量のガスが採取されたが、大部分が地球大気由来の気体であった[90][171]。24日には、サンプルキャッチャーA室の開封作業に着手した[157]
7月5日、JAXAはカプセル内のサンプルコンテナから肉眼で確認できる直径1ミリメートルほどの微粒子十数個と、サンプルキャッチャーA室の内壁から直径10マイクロメートルほどの微粒子2個を顕微鏡で確認したと発表した[93]。その後、調査範囲を広げるにつれて発見される粒子の数も増えていった[173][95]。カプセル内の微粒子はマニピュレーターで1粒ずつガラス容器に移して詳細に検査する予定だった[93][90]が、事前に行ったリハーサルより粒子が小さく効率が悪かったことから[96][97]、電子顕微鏡で観察できるサイズのテフロン製ヘラと純窒素チャンバーを開発し、地球大気による汚染を遮断した環境下で[177]容器の壁面をこすって微粒子を採取するようにしたところ、10マイクロメート以下の微粒子を約3,000個捕獲することができた[96][99]
11月16日までにA室内から回収した微粒子のうち約1,500個が岩石質であった。回収された微粒子が地球上で混入したものなのか、イトカワ由来なのかはキュレーションセンター内での簡易分析だけでは判断できないと考えられていた[93]が、X線分光分析の結果、組成が地球上の岩石では見られないLL4-6コンドライト隕石の組成と一致した[100]。イトカワの観測結果から、イトカワはLLコンドライトと近い物質であると推定されていたことから大部分がイトカワ起源と判断され[101]、11月16日に公表された[8]。12月7日にサンプル容器B室を開封した[181]
テフロン製ヘラによる採取では、微粒子がヘラに付着して取れなくなってしまうことから、サンプルキャッチャーをひっくり返して振動を与え、合成石英ガラス製の円盤に粒子を落下させる方法(自由落下法[182])が考案され、大きなもので300マイクロメートルを超える粒子を回収することができた[101]。また、ガラス円盤に付着した試料は制電制御によるマイクロマニピュレーターによりひとつずつ拾い集められた[177]。2013年3月15日までに400個ほどの粒子が回収され、元素組成によってカテゴリー別に分類され1つずつ保管されている[101]。回収した粒子は初期分析のため各研究機関に配付された他、NASAや公募によって決まった各国の研究機関でより詳細な分析を行い[149]、さらに一部のサンプルは分析技術の進歩に期待して保存する予定である[86]
粒子の初期分析は当初予定の8月以降から9月以降、さらに12月以降[183]へと延期され、ようやく2011年1月21日にSPring-8で最初の初期分析が始められた[182][184][185]。3月にはアメリカで開かれた第42回月惑星科学会議で初期分析の中間報告が発表された[186]
回収したサンプルの初期分析結果は、JAXAホームページの特集「小惑星イトカワの真の姿を明らかに」(2011年12月27日公開)を参照のこと[187]
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(6.4.大気圏再突入)
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(6.6.カプセルの一般公開)

8. “はやぶさカプセル内の微粒子の起源の判明について” (プレスリリース), 宇宙航空研究開発機構, (2010年11月16日), http://www.jaxa.jp/press/2010/11/20101116_hayabusa_j.html 2010年11月16日閲覧。 
149. “はやぶさ帰還、カプセル回収へ”. AFPBB News. (2010年6月14日). http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2735646/5877025 2010年6月14日閲覧。 
150. 本間雅江 (2010年6月14日). “「はやぶさ」カプセル破損なし…18日にも日本へ”. 読売新聞. オリジナルの2010年6月17日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100617193710/http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20100614-OYT1T00840.htm 2010年6月14日閲覧。 
157. “「はやぶさ」サンプルコンテナ開封作業を開始”. ISAS/JAXA (2010年6月25日). 2010年7月5日閲覧。
161. 藤村彰夫 & 安部正真 2010, p. 211.
162. “はやぶさカプセルが日本到着 宇宙機構で分析へ”. 共同通信. (2010年6月18日). http://www.47news.jp/CN/201006/CN2010061701000557.html 2010年6月18日閲覧。 
164. 打ち上げられた探査機が宇宙空間で物質を追加搭載して税関を経由せず外国に到着することは前例が無く、既存の法律では密輸行為になりかねない(前述の行為を迂闊に認めると、一旦宇宙に物質をプールしておいて、宇宙空間で物質を搭載して外国に着陸すると税関を経由しないでも輸入が可能になる)。このため、ISAS側では法的手続きにおいて、新規解釈を次々とひねり出す必要に迫られた[88]
166. 施設内では輸送用免震箱からカプセルを取り出し、傷が付いていないことが確認された。カプセル表面に、打ち上げ前の2003年3月18日という日付と、カプセル開発などに携わった20人の名前が書かれた名刺大の紙が張られているのが見つかった[89]。名前ははっきり読める状態で、大気圏突入時、紙が劣化するほどの熱が加わらずに落下したと推定された[89]
167. この段階では、直径1mm以上の目立った粒子の存在は確認されなかった。
168. 矢田達 et al. 2013, p. 73.
171. 当初は「イトカワで採取した物質の表面から発生した可能性」「地球帰還後、大気が混入した可能性」「はやぶさ内部の樹脂や金属などから発生した可能性」などが考えられた[91][92]
172. “「はやぶさ」カプセルに粒子十数個 直径1ミリ 「イトカワ」由来かは不明”. 日本経済新聞. (2010年7月5日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG0501L_V00C10A7000000/?at=ALL 2010年7月5日閲覧。 
173. “微粒子新たに数十個発見 はやぶさ、分析は9月以降”. 共同通信. (2010年7月7日). http://www.47news.jp/CN/201007/CN2010070701000655.html 2010年7月12日閲覧。 
174. “「はやぶさ」カプセルの微粒子、100個超確認 直径10マイクロメートル級”. 日本経済新聞. (2010年7月7日). http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819695E2E5E2E1828DE2E5E2E5E0E2E3E29180EAE2E2E2 2010年7月12日閲覧。 
175. 矢田達 et al. 2013, p. 74.
176. 松浦晋也 (2010年7月12日). “ヘラに付着した微粒子の回収方法を検討中”. 松浦晋也のL/D. 2010年7月18日閲覧。
177. 唐牛譲、石橋之宏、上椙真之 ほか、JAXA惑星物質試料受入設備における「はやぶさ」帰還試料の取り扱いと汚染管理 地球化学 Vol.48 (2014) No.4 p.211-220, 10.14934/chikyukagaku.48.211
178. 松浦晋也 (2010年10月6日). “はやぶさサンプル回収;10月6日午後5時半からの記者会見”. 松浦晋也のL/D. 2010年10月6日閲覧。
179. 矢田達 et al. 2013, pp. 74-75.
180. 矢田達 et al. 2013, p. 75.
181. 小林行雄 (2010年12月14日). “JAXA、はやぶさカプセルのB室を開封 - 肉眼で確認できるサイズの粒子は無し”. マイナビニュース. http://news.mynavi.jp/news/2010/12/14/003/index.html 2011年3月16日閲覧。 
182. “はやぶさカプセル内の微粒子の初期分析の開始について” (プレスリリース), 宇宙航空研究開発機構, (2011年1月17日), http://www.jaxa.jp/press/2011/01/20110117_hayabusa_j.html 2014年1月21日閲覧。 
183. 大塚実 (2010年8月23日). “はやぶさウィークリーブリーフィング第5回”. 大塚実の取材日記. 2010年9月11日閲覧。
184. “「はやぶさ」カプセル内の微粒子、初期分析開始”. sorae.jp. (2011年1月18日). オリジナルの2014年2月2日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140202201357/http://www.sorae.jp/031004/4262.html 2014年1月21日閲覧。 
185. 「「はやぶさ」微粒子の初期分析が行われる」、『SPring-8 NEWS』第55号、RIKEN/JASRI、2011年3月、 5頁、2014年1月22日閲覧。
186. “JAXA、「はやぶさ」カプセル内の微粒子の初期分析の中間結果を発表”. マイナビニュース. (2011年3月11日). http://news.mynavi.jp/news/2011/03/11/065/index.html 2011年3月16日閲覧。 
187. “小惑星イトカワの真の姿を明らかに”. JAXA (2012年1月30日). 2011年2月5日閲覧。

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出典:Wikipedia
2018/06/09 10:00
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