はやぶさ (探査機)
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6.はやぶさの軌跡
6.4.大気圏再突入
6月13日22時51分頃[4][131]惑星間軌道から直接12km/sの相対軌道速度[141][142]で、はやぶさ本体およびカプセルは大気圏再突入した。流星のように輝きながら無数の破片に分解し、燃え尽きていくはやぶさ本体と、一筋の光の尾を曳いて飛び続ける再突入カプセルは、南オーストラリア州においては数十秒間にわたり地上から肉眼でも観測され、満月の倍の明るさに相当するマイナス13等級の輝きを発し[143]、人の影が地面に映るほどの明るさとなった[144]。 事前の予想では、大気圏再突入時の光跡は最大でマイナス5等級程度と報道されていたが[145]、後の記者会見では、この予想ははやぶさ本体を含まない、再突入カプセル単体の明るさを指した予想であったと訂正された[146]
22時56分[131]、カプセルからの電波信号(ビーコン)が受信され、パラシュートが開いたことが確認された。カプセルは23時8分頃に着陸したと推定される[131]。着陸予想地点の周囲に展開した方向探測班がビーコンの方向から落下位置を推定し、発熱による赤外線を頼りに[147]ヘリコプターによる捜索が行われ、13日23時56分、再突入直前の予想地点から1キロほどのウーメラの北西約200キロで目視により発見された[4][147][148][149]
現地の砂漠一帯は先住民アボリジニーの聖地でもあるため、14日午前にアボリジニーの代表がヘリで現場を視察し、了解を得た後、宇宙機構のチームがカプセル回収に向かった[147]。カプセルに付いている火薬などの危険物が安全な状態かどうかを調べた後、カプセル回収作業開始し、約4時間後に回収を完了し[150]、専用のコンテナで現地の拠点施設まで移送された[151]。また、探索されていたヒートシールドも14日14時頃に発見され[7]、翌日に回収された。
なおこれ以前にも日本の宇宙機が自力で大気圏再突入に耐えた例はいくつかあるが、回収まで予定通りに成功したのは2003年に回収されたUSERS回収カプセル以来7年ぶり2度目。旧ISASが打ち上げた衛星・探査機としては初の回収成功となった(失敗後に偶然回収されたEXPRESSを除く)[152]。大気圏再突入時の最大減速率は50G程度で、再突入から約150秒後には秒速数十メートルまでの減速がおこなわれた[141]
NASAはJAXAなどと共同で、観測用航空機「DC-8」から19台のカメラで「はやぶさ」の大気圏再突入を撮影した[153][154]。はやぶさは惑星間航行をしていたので、歴史上2番目の速度で大気圏再突入が行われ、カプセルは1万 - 2万度の高温にさらされた[155][131][156][158]。NASAの支援としてはこのほかに、ディープスペースネットワークによるはやぶさの追跡支援、エイムズ研究センターの大型加熱風洞を用いた再突入カプセルの耐熱シールド試験があった[85][160][85]
[4]前ページ
(6.3.交信途絶・帰還)
[6]次ページ
(6.5.カプセルの輸送と分析)

4. “「はやぶさ」大気圏突入/カプセルも発見”. ISAS/JAXA (2010年6月14日). 2010年6月15日閲覧。
7. “「はやぶさ」カプセル回収作業完了! 熱シールドも発見!”. ISAS/JAXA (2010年6月14日). 2010年6月14日閲覧。
131. 川口淳一郎プロジェクトマネージャーが語る 「はやぶさ」誕生秘話 (PDF) 」 、『JAXA's 宇宙航空研究開発機構機関誌』第33号、宇宙航空研究開発機構、2010年8月1日、 4-5頁、 全国書誌番号:01013637、2010年7月30日閲覧。
141. 山田哲哉、安部隆士:カプセルの地球大気再突入時におけるプラズマ現象とその周辺 プラズマ核融合学会誌6月【82-6】/講座3 (PDF)
142. 地球周回軌道を飛翔する物体の場合は約7.8km/sの速度
143. 東山正宜 (2010年9月22日). “はやぶさ最後の輝き、満月の倍の明るさ 国立天文台観測”. 朝日新聞. オリジナルの2010年9月27日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100927072307/http://www.asahi.com/special/space/TKY201009210367.html 2010年9月22日閲覧。 
144. “「はやぶさ」、最後の24時間”. はやぶさ、7年間の旅. 日本電気 (2011年6月2日). 2014年1月21日閲覧。
145. “「はやぶさ」、最終の軌道修正となるTCM-4によりWPAへの精密誘導を完了”. マイナビニュース. (2010年6月9日). http://news.mynavi.jp/news/2010/06/09/070/index.html 2010年7月18日閲覧。 
146. 柴田孔明 (2010年6月15日). “No.1447 :カプセル回収結果報告”. 宇宙作家クラブ ニュース掲示板. 宇宙作家クラブ. 2010年7月30日閲覧。
147. 東山正宜 (2010年6月14日). “はやぶさカプセル、先住民の聖地で発見 了解得て回収へ”. 朝日新聞. オリジナルの2010年6月17日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100617184550/http://www.asahi.com/science/update/0614/TKY201006140162.html 2010年6月15日閲覧。 
148. “はやぶさの旅「世界最長」 2592日、ギネスに申請”. 朝日新聞. (2010年6月15日). オリジナルの2010年6月17日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100617054824/http://www.asahi.com/science/update/0615/TKY201006150390.html 2010年6月15日閲覧。 
149. “はやぶさ帰還、カプセル回収へ”. AFPBB News. (2010年6月14日). http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2735646/5877025 2010年6月14日閲覧。 
150. 本間雅江 (2010年6月14日). “「はやぶさ」カプセル破損なし…18日にも日本へ”. 読売新聞. オリジナルの2010年6月17日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100617193710/http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20100614-OYT1T00840.htm 2010年6月14日閲覧。 
151. “『はやぶさ』カプセル回収 日本に空輸、分析へ”. 東京新聞. 共同通信. (2010年6月15日). オリジナルの2010年6月17日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100617061039/http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010061502000071.html 2010年6月15日閲覧。 
152. 惑星軌道からの高速な大気圏再突入は世界でもあまり前例がなく、スターダストの回収カプセル以来4年半ぶり2度目の成功となる。さらに、惑星軌道からの母船の再突入は世界初となった。
153. NASA Ames Research Center (2010年6月13日). “NASA Team Captures Hayabusa Spacecraft Reentry”. YouTube. 2010年6月14日閲覧。
154. “ねとらぼ:「はやぶさ」が光輝き、散っていく NASAが空撮映像を公開”. ITmedia ニュース. (2010年6月14日). http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1006/14/news076.html 2010年6月15日閲覧。 
155. “Hayabusa Asteroid Mission Comes Home”. NASA (2010年6月14日). 2010年6月15日閲覧。
156. 今回の突入を航空機から観測することによって、宇宙機の超高速再突入時における熱保護システムの振る舞いを評価し、将来的に火星からのサンプルリターンのカプセルの研究に役立てるという。[83]
158. 回収後のカプセルのキュレーション作業もNASAと共同で実施している[84]
159. ニュートンプレス 2010, p. 29.
160. はやぶさにジェット推進研究所の開発した小型ローバーを搭載する計画やアメリカ国内にカプセルを着陸させる案もあったが、この2つは実現しなかった。

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出典:Wikipedia
2018/06/09 10:00
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