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14.ケトン食療法
通常、炭水化物を摂取すると、体内でブドウ糖に合成され、全身の細胞に運ばれて消費される。一方、炭水化物をほとんど含まず、脂肪分が豊富な食事を摂ると、肝臓は脂肪を脂肪酸Fatty Acids )とケトン体keto )に分解する。ケトン体は脳に入り、ブドウ糖に代わるエネルギー源として消費される。血中のケトン体濃度の上昇は「ケトーシス」( Ketosis )と呼ばれ、この状態になると、癲癇の発作の頻度を低下させる[29]。なお、この「ケトーシス」と「糖尿病性ケトアシドーシス」( Diabetic Ketoacidosis )は明確に異なる。この食事法の潜在的副作用としては、便秘Constipation )、成長の遅延、高コレステロール血症Hypercholesterolemia )、腎臓結石Kidney Stone )がある[30]

砂糖、甘い果物全般、デンプンが豊富なもの全般を避け、各種ナッツ生クリームバターの摂取を増やす[29]。食べ物に含まれる脂肪分は、「長鎖中性脂肪」( Long-Chain Triglycerides, LCT )と呼ばれる分子で構成されるが、このLCTよりも短い炭素鎖からなる「中鎖中性脂肪」( Medium-Chain Triglycerides, MCT )は、ケトン体の産生量を増やすため、MCTが豊富なココナッツオイルを摂取する場合もある。脂肪の摂取比率を減らし、タンパク質の摂取を増やすケトン食もある[31][32]。小児癲癇用のケトン食では、年齢と身長を考慮し、身体の成長と修復に必要な量のタンパク質を摂取する。この食事法を「ケトン食」「ケトン食療法」「ケトジェニック療法」「ケトジェニック・ダイエット」( The Ketogenic Diet )と呼ぶ。

この食事法は、炭水化物の1日の摂取量を10〜15g以内に抑え、体内で「ケトン体」が生成される状態(これを「ケトーシス」( Ketosis )に誘導する。これは「ケトン食」「ケトン食療法」「ケトジェニック療法」「ケトジェニック・ダイエット」とも呼ばれる。もともとは、1920年代前半、アメリカ合衆国ミネソタ州ロチェスター市にあるメイヨー・クリニックMayo Clinic )の医師、ラッセル・モース・ワイルダーRussell Morse Wilder, 1885〜1959 )が癲癇患者を治療するために開発した食事法である[33][34]

何らかの形でこの食事療法を実践すると、癲癇持ちの子供や若者の約半数は、発作を起こす頻度が半分に減り、この食事法を止めたあとも効果は持続するようになる[35]。子供や成人を問わず、癲癇患者がこの食事療法を実践することで、その恩恵が得られる可能性を秘めており、これと類似する『修正アトキンス・ダイエット』( Modified Atkins Diet, 炭水化物の1日の摂取量を10〜15g以内に抑えたうえで、タンパク質・脂肪・水・茶・食べる量は一切制限しない。アメリカ合衆国の心臓病専門医、ロバート・アトキンスRobert Atkins 〉が開発した食事法 )も同様に身体に有効であることを示す証拠もある[29]。方式がどうであれ、「炭水化物および砂糖の摂取は徹底的に避けたうえで、大量の脂肪分を摂取する」点は共通している。

砂糖を筆頭に、米、麺類、パン、イモ類全般のような炭水化物の塊はまず口にできない。糖質を取り過ぎると、ケトーシスは解除されてしまい、効果は失われる。炭水化物の摂取を厳格に制限する代わりに、エネルギーの90%を脂肪から摂取する。ラッセル・ワイルダーが開発したケトン食における栄養素の構成比率は、「脂肪(4):タンパク質と炭水化物(1)」である。脂肪分が90%、タンパク質が6%で、炭水化物の摂取は可能な限り避ける[36]。患者1人1人の年齢、身長、体重に合わせて内容を検討し、調理の際は栄養素を厳格に計算する。

ケトジェニック療法は、空腹中の癲癇患者に対して実施される投薬や手術以外の治療法の1つとして開発された食事療法である。1920年代に開発されて以降、10年間はこれが処方され続けたが、抗癲癇薬が新たに出てくると、徐々に使われなくなった[29]。患者の多くは薬剤の投与で発作を抑制できるが、全患者のうちの20〜30%は複数の薬剤を投与しても抑制できない[37]

2つ以上の薬剤を服用しても症状が抑制できない患者、とくに子供の癲癇患者に対してはこのケトジェニック療法が効果を発揮し、癲癇治療の手段としてこの食事法が再評価された[29][28]

なお、この食事療法を続けていると、身体は炭水化物ではなく、脂肪および脂肪を消費して合成するケトン体を常に燃料にする体質となり、肥満も治癒できる。

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出典:Wikipedia
2020/01/13 14:00
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