世界保健機関が発表しているこの病気の定義は、『種種の病因によってもたらされる慢性の脳疾患であり、大脳
ニューロンの過剰な放電から由来する反復性の発作(てんかん発作、seizure)を主徴とし、それに変異に富んだ臨床ならびに検査所見の表出が伴う』とされている。これは「大脳皮質の過剰な発射ではない」「反復性でない」「脳疾患ではない」「臨床症状が合わない」「検査所見が合わない」ものは「てんかん」から鑑別するべきだ、という意味が込められている。日本神経学会のてんかん治療ガイドライン2010では、『てんかんとは慢性の脳の病気で、大脳の神経細胞が過剰に興奮するために、脳の症状(発作)が反復性(2回以上)に起こるものである。発作は突然起こり、普通とは異なる身体症状や意識、運動および感覚の変化が生じる。明らかな痙攣があればてんかんの可能性は高い』と記載されている。
ニューロン( Newrons, 脳内に無数にある神経細胞 )が興奮することによる不随意運動は、てんかんではない。脊髄性ミオクローヌスや、下位ニューロン障害の線維束攣縮も、てんかんとは異なる。経過が慢性反復性でなければならないことから、薬物中毒の離脱期におこる痙攣はてんかんではない。これらの痙攣に関しては急性症候性発作で述べる。